21-2 出雲の国へ②
出雲の国。
それは現代日本でいう所の島根県東部。出雲大社のある場所だ。
大蛇の話が伝わっているのは海を挟んだ出雲の国の、隠岐の島。
そこで調査隊は大蛇の話を聞いたのだという。
出雲の国と聞いて、どれぐらい遠いのかを調てみた。
「これはまた、遠国だな」
「距離にして、何㎞ぐらいでしょう?」
「400㎞ぐらいかなぁ。大体だけど」
直線距離は片道約400㎞。時速60㎞で走ったとして、7時間近くかかる計算だ。
大狼に頼れば3日ぐらいかな?
気軽に行こうとは言えない場所である。
ちなみに、黒岩の里のある中陸奥の国までだと500㎞ぐらい。
そっちよりはまだマシであったが遠い事には変わりがない。
途中の移動ルートは日本海側に出て海岸線沿いに動ければいいんだけど、そっちは人目に付きやすいので、やっぱり山中突破を図る事になる。
山中突破はいいけど、それには懸念材料が多い。
俺がそちら方面の道に詳しくない事で、ぶっちゃけ桃〇の移動ルートしか思いつかないからである。
俺は大阪までの道なら分かるけど、そこから先は日本海側か、瀬戸内海側の道しか知らないんだ。
記憶に無いだけで、あの辺りの山道とか、普通にあるのかもしれないけど。知らないのだから何ともならない。
現地に派遣した連中を上手く捉まえて、道を聞くしかなさそうだ。
神戸ぐらいは行けると思うけど、その先は未知。
頭の痛い話であった。
「それ以外は大丈夫なんですか?」
「さて。大丈夫だと思うけど……どうだろうなぁ」
村の事は、10日ぐらいは放っておいても大丈夫だと思う。
もっと遠い仙台には2度行っているし、その間の経験で何とかなるはずだ。
浅野とか桜井が居れば岐阜市関係の調整は問題無し。
神戸町や大垣市、三河の国との話し合いも、今は急ぎの案件を抱えていない。
俺が出雲の国まで『幽暗の大蛇』の調査に出かけると言えば、特に反対はされないだろう。
物資と人員については言うに及ばず。
こちらで問題が発生することは無い。
大丈夫だよね、うん。
俺は周辺に遠方に出かけるから、10日ぐらい留守にすると告げて回った。
現地調査を長々とやって、どこまで意味があるか分からないし。期間を決めて調査して、何も分からなければ後任に残りを任せてしまう所存である。
忙しいとまでは言わないが、そこそこ仕事を抱えているからね。
1か月間ぐらい留守にするなら、もうちょっと準備が必要になるし、区切りは10日ぐらい。
関係者各所に連絡をした俺は、仲間を連れて、久しぶりに旅へと出るのだった。