表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
戦争とは最悪の政治行為である
521/729

20-25 救済、のち反動③

 まともな説明の出来ない相手に俺が取った手段は、以前作った『美肌鶏』への誘導。

 これは今でも神戸町で厳重に管理されているんだけど、ニノマエ経由で多少は流通している。

 その肉と卵を振る舞った結果、肌が若返った(・・・・)と説明させたのだ。


 それなら俺個人に突撃してくる奴はいないだろうと思っていたんだけど、そうは問屋が卸さない。

 美肌鶏の出元が俺という事もあり、女性を中心に、予想以上に食らいついて来た。





「うちでは大規模な養鶏場の計画をしています! 最初の数羽分、鶏さえ頂ければ、あとはウチで全部やります! 利益は折半でどうでしょうか?」

「こっちは利益の6割を差し出します! ぜひウチに!」


 説明して数日後。

 岐阜市どころか、美濃の国中の養鶏場から「美肌鶏を扱わせて!」というオファーが届いている。

 いや、そろそろ国の外からも話が来るかもしれない。


 中には「経費分はいただきますが、純利益は全てそちらに差し出します!」とまで言う養鶏場まであった。

 どうやら奥様から、自分たちが消費する少量だけ生産できればいいから確保してこいと、尻を蹴飛ばされている様子。


 ニノマエの上客、そちらに流していた3世代目の美肌鶏を食べていた人たちも、「1世代目を食べたい!」と打診しているという。

 話が面倒になり過ぎて、俺は頭を抱えるしかなかった。





「では、それは私たちで対処しましょう。自分の尻拭いですから、それが筋というものです」

「うむ。創君は、我らに方針だけ渡し、あとは任せてくれ給え。ジェネラルと言えど、戦闘しかできんわけでもない。大船に乗った気持ちでいるといい」


 状況が混乱し過ぎているのでどうやって収拾を付けようか悩んでいると、浅野さんらがどうにかすると名乗り出た。

 自分たちのせいで周囲が混乱しているのだから、責任をとると。


 政治家と将軍、二人の新人は、「神戸町の利益をある程度で良いから確保していれば、美肌鶏が拡散する分には問題ない」という俺の方針に従い、すぐに動き始めた。



 主に三世代目の美肌鶏を各地で生産できる状況を作りつつ、コネを使って神戸町のものはワンランク上という評判を流布していく。

 利益の方は、最初にある程度まとまった額を貰って、あとは自由にすればいいという権利売却の方針で進められた。それが一番分かりやすく、誤魔化されないから、と。

 そしてオリジナル、1世代目を求める声については、鶏は急に増えないのだから、しばらく待てと鉄壁の守りを見せた。

 もともと対人が専門だったので、これまでの仲間には真似できない場面での活躍を見せた。



 が。


「チキンカツ丼こそ至高!」

「いいや! 唐揚げこそ究極!」


 そのモチベーションを保つため、そこそこどころか、かなりの鶏が犠牲になったようだ。

 そして自分の気に入ったメニューで至高だの究極だの言って争っている。

 優秀だからいいけどさ、子供のように争う姿を見ると、その活躍が非常に疑わしくなる。


 俺は争う二人を背に、自分のメニューを頼む。


「チキン南蛮、タルタルマシマシで」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 国の外って一瞬日本の外かと思ってしまいました(笑) いつか明らかになるんでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ