20-21 救済④
名前付きは、ユニーク。
つまりはそういう事らしい。
二人をカード化したことで他人の目が無くなったので、さっそくコピーした浅野さん2号を召喚してみたのだが、記憶やら何やらの引継ぎができていないだけでなく、年齢や容姿すら違う別人が出てきた。
これまでも死体から人をカード化した場合、出てくる人はランダムだった。
コピーにも同じルールが適用されるようで、同一人物の複製はできない。
それが結論だ。
浅野さんらにはたいして思い入れも無かったし、これまでやって来なかった名前付きのコピーを試してみたけど。
ちょっと想定外だったけど、良いデータが取れたよ。
気を取り直して、二人のカードから“記憶の転写”という部分を消去した。
これはあっさり終わり、特に問題なし。すでにやった事だからね。やり方ははっきりしている。
で、次に、二人の生命力・魔力を強化。
あの血玉を抜いた後、どうして死ぬかはちゃんと調査したよ。オリジナルのドールを使って実験しておいたんだ。
死なないようにするには、生命力と魔力の両方を強化しておけばいい。片方だけだと駄目だったけどね、それぞれ1回で良いから両方強化しておけば死なずに済む。
最後に1回進化なんだけど……ここで魔力が尽きた。
二人を召喚し、しばらく待ってほしい旨を告げる。
「嘘!? 体が軽い!」
「はははっ! まるで若返ったみたいじゃないか!」
が、全然聞こえていない。
生命力と魔力を強化したので、その引き上がった能力に引きずられてテンションまで上がっている。
浅野さんは肌艶の良い体を目で楽しみ、桜井氏は立ち上がり体を動かして調子を確認する。
どちらも生命力を上げた結果だ。
ゲーム的な生命力は若さにも関わるみたいで、生命力を上げると若々しくなるんだよね。
しばらくしたら、その上がった分以上に能力ダウン、老化が起きるんだけど……まぁ、ちゃんと説明しないとなぁ。
説明したら、二人ともかなり凹んでいた。
しょうがないじゃないか。大手術をするんだから。
多少はフォローするから、そこは諦めてほしい。
あと、記憶の修復は上手くいったのかな?
そこは実験できなかった項目だから、正直、自信がないんだよね。
大丈夫?
うん、大丈夫ですか、そうですか。
二人のテンションが低すぎて、ちょっと時間をおかないとまともに話もできない。
そこまでショックか、若返りのあとに老化する未来が。
まだ若い俺にはよく分からないけど、それは言わないでおこう。
言ったら酷いことになりそうだ。