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2-07 砂金売却①

 俺が人の世界に来たのは、物欲と、ゴブリンの扱いを知るためだった。


 ゴブリンの扱いについては、害獣だけど猪ほど厄介じゃないから放置というのが一般的な感覚。

 むしろ猪を退治してくれる益獣に近い。


 そこまで厄介か、猪。


 物欲の方は、金銭的な理由でまだ解決していない。

 神戸町で多少稼いだけど、売り上げの3割を猪運搬で持っていかれたので、成果としては5万円にしかならなかった。

 できれば、あと10万円は欲しいです。


 人の世界は物欲を刺激する物が多いんだよ。物欲の天使が耳元で囁くんだよ。

 これじゃあいくらお金があっても足りやしない。





 手っ取り早く稼ぐため、俺は砂金を売ることにした。

 能力で作った砂金だけど、大丈夫のはず。


 前回売らなかったのは、夏鈴たちが持っていたから。

 こう言えば、そんなに違和感も無いだろう。

 なんで別行動をしていたのかって疑問が出てきそうだけど。その理由は曖昧に笑って全力で誤魔化すよ。夏鈴たちとも口裏は合わせておこう。


 いや、細かい話を聞かれるかどうかは知らないけどね。



 金、貴金属を取り扱うなら大垣市の方がいい。田舎よりも都会の方が高く売れるだろう。

 俺は肉屋のお姉さんに話を聞き、貴金属を買い取ってくれる店を教えてもらった。


 ただ、貴金属を取り扱っているという話を聞いただけなので、お店の人が信用できるかどうかは分からないという。


 肉屋と貴金属店の間に接点は無いので、詳しく知らないのはしょうがないよね。

 ここぐらいしか話を聞けそうな人がいないからって事でここで聞いたんだし、親切で教えてくれる人に文句を言うのは筋違いだろう。

 それよりも教えてくれたことに感謝するべきだ。





 そんなふうに割と適当に準備をして向かった貴金属買取店。

 そこで俺は、ちょっと後悔をする。


「ふむ。偽物ですな。買取できるものではありません」

「そうですか。では、返してください」

「いやいや。このような贋物の金をそのままにしておくわけにもいきません。これは、こちらで処分しておきますので、残りも置いて帰ってください」

「俺は、返してくださいと言っています。それは俺の持ち物であり、貴方のものではない」

「私は置いて行けと言っているのですよ。このような贋物、他の店で能力のない店主が間違って買ってしまっては問題です。ですので、私が預かります。

 勘違いしないでいただきたい。私は、お願いしているのではありません。法と秩序の名のもとに従えと言っているのですよ」


 明らかに詐欺をしているという悪そうな顔をした太ったおっさん店主。成金、金満という言葉がすぐに思い浮かぶ。

 そんな店主の後ろに控えるのは、いかにも人を殺したことがありますよというガタイのいい大男たち。武器をこれ見よがしに構え、こちらを見下すように笑っている。

 怪しいという言葉しか浮かんでこない。



 外見はともかく、商売はまともかもしれない。

 砂金を売ってお金にしたいのだから、交渉をしないと話にならない。


 俺は念のために袋から少しの砂金を取り出し、鑑定してもらった。

 で、こうなった訳だ。

 店主は俺の持っている金を贋物だと言い、全部寄こせと言い出したのだ。



 店主は俺の砂金が欲しい。

 俺はタダで砂金をくれてやる気などさらさら無い。


 店主は俺のような子供一人、脅せば言う事を聞くだろうと舐めてかかっている。

 世の中の事を何も知らない子供。しかも大垣の住人ではなく、後ろ盾の無いただの旅人。最悪、殺してしまおうがどうとでもなる。

 そんなふうに俺を見ていそうだ。



 馬鹿だよな、こいつ。

 外見、年齢だけで人を判断して終わりだなんて。

 もしくは、目の前の砂金に目が眩んで短絡的な思考に陥るなんて。


 普通に目立つ分には構わないけど、悪目立ち、犯罪者としてお尋ね者になるのは避けたいところだ。

 さぁ、どうやって切り抜けよう?


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