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19-25 闇の手⑦

 気になっていた事が一つあった。

 それは、「どうして兵士たちは唯々諾々と従うのか」という点である。


 よくあるファンタジー小説で、悪い貴族に仕える木っ端兵士というものを見かけるが、彼らの場合は「貴族に逆らったら何をされるか分からない」という、自己防衛とかそう言った感情が彼らを絡めとり、悪事に加担させる。

 ライブド〇などの粉飾決済は社長主導だが、それに加担した社員らは「社長に逆らえなかった」と言いつつも、自己利益の為に、大した事ではない犯罪行為と勝手な妄想で悪事を働いた。


 だが民主主義を掲げる美濃の国で、同じような精神状態になるものだろうか? 自身の命がかかった戦争まで踏み切れるのか?

 上手くやれば、兵士の切り崩しができるのではないかと、そう思う次第であった。


 上手くいかずとも、士気が下がればラッキー。

 その程度の気構えで兵士に工作を仕掛けてみたのだが……。



「成程ね。事情が事情だけに大っぴらにしてはいないけど、国主を救出するための派兵と説明してあるわけか」

「人を動かすのは、いつだって正義ですからね」

「先に国主を救出するのが一番の解決策になっちゃったよ、これ。

 ここで主戦派を叩いたところで、他の評議員がどれだけ納得してくれることか」


 評議会をどうやって動かしたのか?

 その理由が知れただけであった。


 他の組織とかからはそんな情報が入ってきていないので、俺が最初にこの情報を手に入れたと思われる。



「斎藤は見つかっていないんだよなぁ」

「殺され埋められてしまえば、私たちでも探すのは大変ですよね」

「川に流され魚の餌、では、骨しか残らないな」

「その時は、カード化をお願いしますね。それで判別できるはずですから」

「骨の一本じゃそこまで分からないし、全身骨格模型が出来るぐらい集めてもらわないといけないけどね」


 ただ、状況が好転したという訳ではない。

 未だに見つからない斎藤を探しているからだ。しかも、複数の組織が。



 事情を知った俺たちだけではなく、特に事情を知らずとも、斎藤を見付ければ状況が好転するというのが関係者全員の共通見解である。

 その為、俺たちはわりと本気で斎藤を探している。

 少なくとも、俺、岐阜市・大垣・長良の警察署、尾張の密偵、三河の三下が動いている。

 それでなお、斎藤は見つからない。


 ここまで見付からないとなると、簀巻きにされて川に流され、長良川から海にたどり着いた、などというジョークが現実であってもおかしくはない。

 一部の人員は「斎藤を探している」から「斎藤の遺体を探している」に切り替えていたよ。



 で、斎藤が見つからないと軍が動いてしまう。

 タイムリミットはわりと短め。





 軍の動きを止める、最後の手段は、あるには、ある。

 でも、出来ればやりたくないんだよね。

 このタイミングでやると、疑われるのは間違いないし、被害が予測しきれないのもあるし。


 病原菌をばら撒いてしまうのは、本当に最後の手段である。


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