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19-22 闇の手④

 ジンの嫌な予感から始まった村と岐阜市の戦争の足音は、時間が経つにつれて大きくなっていく。

 岐阜市が単独で軍を動かすという話は隠す意図が無いのか、隠しきれなかったのか。数日もすると、市井の噂話の定番になっていった。


 当たり前だが、戦争に肯定的な人間というのはそうそう居ない。

 なんで戦争なんかするのか、また物資が品薄になる、兵士になったうちの子は帰って来れるのか、など。

 市井の声は、戦争に対して否定的だ。


 中には国主に意見しようとした人もいるようだが、効果は無かったようだ。

 評議会から国内平定の為という名目で、春先の出兵が発表されてしまう。


 軍靴の足音は、徐々にだが大きくなっていった。





「やっぱり、おかしいよね」


 国内では岐阜市の暴走に対し、他の市から出兵取り止めを求める声が相次いだ。

 普段であれば国内世論の反戦論に評議会が従い、出兵は取りやめになるはずだ。それを強行するというのは、出兵取り止めの為にクーデターすら起きうる状態を作る。


 斎藤がそんな簡単な事を分かっていないはずがない。

 最低でも大義名分を掲げ、国内の戦意高揚を行うはずである。

 これで本当に俺の村に攻め入れば大損害を被る事ぐらい分かっているだろうから、そもそも出兵しないのが斎藤の考えのはずだ。



 だったら、どうするか?

 何かしようか。


「まずは斎藤さんに直接会って話をするところからですね。

 もしかすると、ですが」

「斎藤のアホがドールにされた可能性がある、だよね」

「もしくは、ドールになった誰かに軟禁されているとか、家族を人質に取られたか。

 色々と考え付く事はありますが、会うなりなんなりして情報を得ない事には、判断できません」


 岐阜市の打ち立てた、戦争の計画。

 あまりにらしくない斎藤の行動は違和感の塊だ。

 ならば、ドールによる工作であると考えたい。

 さすがに、斎藤がそこまでアホとは考えたくないんだ。



 でも、俺本人はすぐには動かない。

 ここは人を使うべき場面だろう。


 俺はジンに手紙を送り、下忍衆を貸すので内偵の指揮を任せることにした。



 ジンには依頼料を送らないといけないかな。

 回復薬か、また岐阜市への鉄と食料供給か。

 タダ働きさせたらいけないよね。



 ああ、物理的な意味で良い見本になるかもしれないから、堀井組からも人を出してもらおうかな。

 ドールの実物と、その解体は言葉だけじゃわからないだろうし、情報を共有しないとね。

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