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19-21 闇の手③

「……その様な話は聞いていませんね。

 少なくとも、大垣市では食料の買い付け指示などは出していませんし、行軍の計画書も出されていません。出されたとしても、予算の問題で却下されるでしょうが。

 秋の収穫時期はどこも人に余裕がありませんし、越前に派兵した影響で未だに資金不足の都市が多い。断言はできませんが、岐阜市単独の行動ですね」


 情報収集という事で、大垣市の署長さんに話を聞いてみた。

 すると、署長さんにとってもこの話は寝耳に水だったようで、もっと詳しくと逆にこちらに話を聞く始末。

 ジンの情報収集能力が高いという事なのか、それとも。


「署長さんの情報網が乗っ取られている可能性は?」

「これでも大垣市の警察トップですから。複数の情報源を持っていますよ。そのどれとも直接やり取りをしていますし、組織トップの全員を乗っ取られない限り、まず無いですね」


「署長! 急ぎの連絡です!!」


 そんなやり取りをしていると、俺という客人の対応をしているにもかかわらず、緊急だと言って人が入ってきた。

 ちょっとどうかと思うが、本当に緊急なら仕方がない、のか?



 署長さんは渡されたレポートにざっと目を通すと、苦々しい顔つきになった。

 そして一度こちらに視線を向けると、小さく首を縦に振る。


 ――どうやら、岐阜市の話のようだね。

 戦の準備を進めているという情報だけに、しっかり調べる時間を取ったのかもしれない。

 それとも、俺から署長さんに話が行くかもしれないから、情報の鮮度を意識して、緊急として情報をねじ込んだか。

 最悪は、情報屋の連中が全て取り込まれた後で、もう隠す意味も無いからくれてやろうという展開だけど。流石にそれは穿ち過ぎか。



 署長さんは特に指示も出さず部下を下がらせると、目頭を揉んだ。

 そうとう嫌な内容だったらしい。


「俺にも出ていくよう言わないという事は、やっぱりさっきの話と関係がある?」

「ええ、その通りですよ。岐阜市の戦争準備はほぼ間違いありませんね。

 ただ、やはり他との協調路線は無いようです。近くの長良などもこの件には気が付いていない様子でした。

 しかし、そうなると、どこに兵士を動かすのかという事ですよ。兵士を1000も動かすと、近隣に要らぬ疑いを持たれますし、動いた先々に出る悪影響が大きすぎる」


 署長さんは、手元の資料を見つつ、兵士の動員数に疑問を持つ。

 そりゃあ、そうだろう。他国との戦争並みに人を動かすのだから、よほどの理由でなくては民衆が納得しない。美濃の国は建前上だけだが民主国家なのだ。

 少なくとも、兵士を動かす、金を浪費するとなれば、反発は必至。死者の数次第では更に酷いことになるだろう。



 最悪に備える意味では、敵の兵数を知れたのは大きい。

 ゴブニュート村を攻めるとしたら、1000では足りないと思うけど。油断は禁物だ。

 兵士の練度によっては、ちょっと面倒かもしれないよね。

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