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19-20 闇の手②

 ジンは岐阜市にはびこる嫌な雰囲気を、越前解放戦争の時のようだと、そう説明する。


 食料の買い付け量増加に、鉄製武器の増産。

 兵士たちの訓練が厳しくなり、これから何処かと戦争すると言われても不思議が無いような状態らしい。


 もちろん、何らかの理由で訓練が厳しくなったとか、ちょっとした遠征訓練をするのだとか、もしかしたら越前に兵士を送りアンカマーに備えるといった理由で動いている可能性も有る。

 ただ、それならそれで説明があるだろう。なのに理由が公表されずそんな動きをしているので、ジンは“嫌な雰囲気”と表現している。



 ちょっと考えてみるが、美濃の国は周辺のどの国とも戦争をしていない。

 これは小競り合いレベルのものも含む。

 基本的にも応用的にも、戦争をする大義名分が無いので、そんなものなのである。

 このあたりだと、尾張と三河に衝突の可能性があるぐらいだが、それだって可能性としては低いだろう。


 戦争以外の理由となると――雄総かどうかは知らないけど、我妻に命令していた誰かの拠点を攻めに行くのかもしれないな。

 詳細は不明だが、美濃の国の近辺に敵の拠点があるのかもしれない。



 ここまでが、楽観的な考えである。





 悲観的に考えるなら、俺のゴブニュート村が攻められると見ていいだろう。

 この村は届け出の類を出しておらず、国に属さない村落である。

 つまり、美濃の国にしてみれば「攻める大義名分のある場所」なのだ。


 国にしてみれば、自国内に税金を納めない自治勢力があるという事で、獅子身中の虫のようなものだ。

 対話路線を取るにしても、国と国の対話に準ずるだろうから、武力の誇示が大前提になってしまう。

 だからゴブニュート村を自国に組み込むためと言えば、軍を動かす理由になると思われる。



 一応、美濃の国の国主・斎藤は話の出来る相手だと思う。

 「一応」が取れないのは、どうにも気に食わない雰囲気の人間だからだが、だからと言って理性的な思考ができない相手ではないと思う訳だ。

 その理性で戦争を仕掛けてくるようであれば、相応の対価を支払ってもらう事になるのだが……これまでの、俺への対応を見る限り、その可能性は低いと思うんだよね。


「『ドール』が岐阜市の中に紛れ込んでいなければ、の話ですね」

「そうなんだよな。斎藤が評議会を掌握したとしても、議員を数名、ドールに作り替えられただけで不利になるし」



 雄総という男の性格はまだよく分かっていない。

 ただ、暗殺者の頭領を人形にして、俺に濡れ衣を着せたり暗殺者を送り込んだりするあたり、斎藤とは別の意味で仲良くできない下衆野郎である事は間違いないんだけど、分かっているのはそれだけだ。

 この男がどこまでやるのか、どんなことをしてくるのかは分からないのである。


「署長さんに確認かな」

「署長さんに確認ですね」


 だから、大垣市でちょっと情報収集でもしようかな。

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