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19-16 堀井組④

 100人以上の衆人環視の中、俺と堀井さんは同じ盃の酒を飲むのだが、兄弟の盃は思った以上に大きな儀式だった。

 正面には祭壇が置かれて「八幡大菩薩」「天照皇大神」「春日大明神」の三軸が掛けられ、壁には参列した見届け人の名前がずらりと張り出されるし、名前を出されないのも大勢いた。この場には居ないけど、建物の外には三下連中も詰めかけている。



 最初に、神前式で酒を奉納し神饌(しんせん)とする。

 雅楽の中、祭壇の前で白装束の神職が舞を奉納。

 その後、同じく祭壇前で酒の入った徳利2つを高坏(たかつき)に置いた状態で、神職がそれを頭上に掲げ、左右に振っていた。

 これで、徳利に張ったお酒は奉納され、御神酒となった、らしい。


 次に取持人のところに高坏が持って行かれた。

 すると取持人が口上を述べ、座ったまま、高坏を頭上に掲げ、また左右に振っていた。

 意味はよく分からないけど、神様に奉納したお酒は頭上で振るものらしい。


 で、取持人により御神酒が盃に注がれる。

 酒を注いだ徳利には華を模した紙で封がされ、御神酒の高坏が神職により祭壇の前に戻された。



 そして、盃が俺たちの前に持ってこられる。

 酒を飲む前に、取持人の口上で俺たちがどのような関係になるかの説明が行なわれ、見届け人たちがそれを了承する。

 俺たちもそれぞれの言葉で互いの関係を良き物にすると宣言し、俺はようやく盃に手を伸ばす。


 俺が半分飲んで、堀井さんに盃を渡す。

 堀井さんは一口を残し、酒を飲んだ。

 で、残った最後の一口を、俺が飲む。

 飲み終えた盃は懐紙に包まれ、堀井さんが懐にしまった。


 取持人が盃が交わされたことを宣言。

 これで俺たちは兄弟となる――のだが、これで式は終わらない。

 


 祭壇に戻された御神酒が新しい盃2つに注がれ、見届け人として参列していた人達の中でも左右に座っていた人たちに廻され、左右それぞれからぐるりと1周する。

 細かいことはよく分からないが、二つの縁(円)を交差させる、とかなんとか。

 2つの盃は上座で合流し、重ねられ、箸などを置かれて、もう一度御神酒を注がれた。



 ラスト、一本締め。

 全員が立ち上がり、取持人の「お手を拝借」という声かけで手が叩かれる。


「いよーぉ」


 パパパン、パパパン、パパパンパン。


 三拍子三回に、締めの一本。

 三拍子三回は3×3の「九」であり、「苦」だ。

 「九」に一本足されて「丸」く収まるのが一本締めである。


 ()を結び、丸く収まる。

 これを以て、兄弟盃の盃事は終わりだ。



 あとで儀式関連の細かい意味を聞いておこう。

 たぶん、知っておいて損は無い。

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