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19-13 船を買う②

 思ったよりも小さい。

 購入した船に対する第一印象は、それだった。



 俺が購入したいのは、そこそこの積載量があり、5人ぐらいで操る事を前提とした船。

 マグロ漁船のようなデカい船は想像していなかったけど、都合よくあった在庫はは全長おおよそ7m、全幅おおよそ2mの小型帆船だった。


「5人乗りならこんなもんだ」


 現代の漁船ならレーダーやら船外推進機などが付いているのでこれぐらいコンパクトになるのは分かるけど、この時代の5人乗りの船でこのサイズか。

 ちょっと、いや、かなり意外だった。


 帆船という事で、帆を扱うのに2人。

 操舵に1人。

 周辺監視に1人。

 雑用1人。

 これが5人の内訳らしい。



「これが網の巻き上げ機だ。で、取った魚は、ここに入れる」


 船の床を持ち上げると、内部が水槽になっていて、そこに魚を保存するようになっていた。

 鮮度維持のため、基本は生きたまま陸まで運ぶのが普通らしい。マグロ漁船なんかのようなデカいのは、内部に冷凍庫を設置しているというけどね。

 流石に、そんな船を購入する予定はない。


 この船の漁は日帰りを予定しているので、宿泊用のスペースは無い。

 朝に海へ出て、夜までに戻る。

 それが無理なら、操舵室に押し込まれて雑魚寝だ。屋根があるのは、本当に小さな操舵室だけなのである。


 当たり前のように、トイレなんかも無いよ。海に向かってしろと、そう言う事である。



「組の紹介だし、この船なら100万でいい」


 ぶっきらぼうと言うか、接客が苦手そうな船大工のおっさんは、堀井組の紹介という事で120万円クラスの船を100万円でいいと、大幅に値下げしてくれた。

 紹介状を介したこういった商売で、ぼったくりというのはまず無い。

 これでぼったくろうものなら、堀井組に恥をかかせたことになる。そしてそうなれば、彼は二度と商売ができなくなるだろう。物理的な意味で。


 逆に、組の客に気を利かせたとなると、組から目にかけてもらえる。

 金銭的には痛くとも、後の儲けの布石になるし、他にも多少の特典が付くだろう。



 俺としては、ちゃんとした船であればそれでいい。

 そして船の目利きなどできるはずも無いから、職人を信用するだけだ。


「じゃあ、現金一括で」

「……毎度あり」


 不要な話はしない。

 こちらも必要な事だけ言えば良い。

 俺は夏鈴に持たせておいた金の入った袋を1つ、船大工に渡す。


 彼は袋の中身、金貨を数えると、確かに100万円分入っているのを確認した。

 もちろん、金貨の状態も含めての確認だよ。



 俺たちは握手をして、次の話をする。


「オプションというか、いざって時の脱出用にボートも欲しい。見せてくれ」

「ボートは、こっちだ」


 ありがたい事に、ボートも在庫があるらしい。

 俺は先を行く船大工の後をついてく。



 ああ、あとで操船用のゴブニュートを合成しないといけないけど、船と合成すればいけるかね?

 パーティひとつ、ちょうど5人だし、いけるだろう。

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