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19-5 大雪②

 川を越えると、積雪量は目に見えて減った。

 だが、それでも20㎝は積もっているし、道が通りにくいことに変わりはない。


 もっとも、俺たちが移動に使っている大狼たちは一切気にしていないようだったが。



 いつもとそんなに変わらない移動時間で神戸町に着くと、大勢の人が雪かきをしていた。

 爺さんの所では牛に雪かきをやらせるなど、家畜も投入しての大仕事だった。


「創か! 今回も火を頼めるのか?」

「はい。いつもの場所で待機しますね。

 それと、夏鈴には料理を任せるので、期待していてください」

「助かる! ありがとうな!」


 俺に気が付いた何人かが、期待の篭ったまなざしを向けてきた。

 俺が魔法使いで、魔法で火を出せる事を知っている人たちだ。

 雪かきで溜まった雪の廃棄をする場所を作ってくれと、そうお願いされる。


 俺が神戸町の雪かきを手伝うのはこれが初めてではないが、毎年やっているという訳でもない。

 なので、俺が何をやるのか知らない人もいる。

 俺とある程度親しくしている人はともかく、それ以外の人には興味の無い情報なので、話題にも上らないしね。何をやるんだという顔をされたよ。



 俺は前回と同じ場所に行くと、立てかけてあった木枠を地面に置き、その上に自前の鉄板を乗せる。

 そして、鉄板の下に『コンテニュティティ・ファイア』を使った。


「では、雪を乗せていってください」

「了解!」


 俺が雪を処理する場所は、ある程度排水がしっかりした場所だ。

 大量の雪解け水は、何も考えずにいると周囲を水浸しにする。

 村はどこも排水がしっかりしているが、神戸町はそうじゃないからね。排水溝とか、色々と考えないと周囲に迷惑をかけてしまう。


「よいしょ、よいしょ」

「ようやく山が無くなる」


 周囲には雪で出来た小山がいくつもあったが、鉄板の上でどんどん水へと変わっていく。

 水が湯となり排水溝に流れ込むと、排水溝に詰まっていた雪を溶かしつつ、先へと流れていく。

 1時間もすると、雪の山は数を減らし、視界が少し良くなった。


 俺は魔法の維持の名目で座ったままだが、それでも周囲からは「凄い」と称賛されるので、気分が良い。

 割とというか、けっこう目立つけど、ここでは今更なので気にしないよ。



「ここはもういい。他を頼む」

「はーい」


 神戸町はお隣の大垣市と比べると狭いわけだが、それでも雪を溜める場所が複数あり、その何処もが応援を求めている。

 こうやって大雪が降る事は珍しいので、そこまで対策がされていないというのもある。


 だから、処理が完全に終わらなくてもある程度頑張ったら次に行くのだ。



「しばらく火は残っているので、注意してくださいね」

「ああ、任せろ」


 魔法の効果時間が少し残っていたけど、俺は次の場所へと移動する。

 途中、夏鈴の作った熱い汁物を飲みつつ、ほぼ1日かけて雪を溶かしていくのだった。


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