19-4 ゴーレム①
ゴーレムについては、今まで散々研究してきた。
魔晶石とか、そういった動力源になりそうなマジックアイテムと人形を組み合わせたらゴーレムにならないだろうかと、試してはいたんだ。
ただ、その試みは一度も成功していない。
これは推測になるけど、俺のイメージで「魔法生物」であるゴーレムは、人間で言えば脳みそに相当する何かを別に用意しないと駄目だったのだろうと思う。
車に例えるなら、エンジンやフレームだけあっても、ハンドルもアクセルペダルもないような物だ。
そりゃあ、上手くいかないわけである。
電気はある。そして真空管ぐらいは作れるけど、そこからどうやって、どんな技術的な発展をしていけばパソコンになるかも分からない俺には、そういった演算ユニットを作る事などできはしない。
村で製本できるように活版印刷の機械とか作ったけど、これをワープロにすることもできない。
電気機械の進歩に関する知識、圧倒的に足りていない俺では、それが限界だ。
ゴーレムができれば、いろんな仕事を任せて、俺たちは悠々自適な生活ができると思っていたんだけど。
話を戻すが、ドールというモンスターからゴーレムができた。
『ヒューマン・ゴーレム』:モンスター:☆☆☆☆:中:1ヶ月
ヒューマン・ゴーレムを1体召喚する。ゴーレムは、魂無き命を持った存在である。
ヒューマンの素材を使用している為、見た目は人と変わらない。
通常稼働の時間は、30日。
一般的に、ゴーレムは自然物でできた物、というイメージがあると思う。
石とか岩とか、金属とか。某ドラゴンの王様を討伐するゲームに出てきた石像とか、四角いブロックのクラフトゲームに出てくるアイアンゴーレムなんてのは有名だと思うよ。
ゴーレムの初代も、聖なる書物では土から作っていたからね。あれは最初から人間を模していたよなぁ。
でも、こいつの場合は『ヒューマン・ゴーレム』なので、ヒューマン、人間の姿をしている。
外見だけを見れば、ゴーレムというイメージが出てこない。
触ってみても人間の感触だと思ったら……冷たい。
死体じゃないか、これ?
「町中には置けないね」
「モンスターですしね。討伐されて終わりでしょう」
ゴーレムは使い勝手は非常に悪そうであった。
稼働時間にも制限があるようで、はっきり言って、ドールの方がまだマシである。
ドールは人間を弄くり倒して作った物。そんな感じなので、別の意味で使いにくいんだけどね。
普通のカードユニットは俺の言うことを聞いてくれるので、ドールである意味なんて特に無いんだよな。
それで、ゴーレムの良いところを考えてみたけど。
「金属素材が合成可能か」
「旦那様の考えているゴーレムは、むしろこちらですね」
ヒューマン素材のゴーレムではなく、一般寄りの金属系ゴーレムにしてみた。
スーパーなロボットとかによくある、「関節部分がなく、何かグニャグニャ曲がる肘や膝」には対応しておらず、ちゃんと関節のある人形を合成しないと動かないといったハプニングがあったものの、一応はアイアン・ゴーレムの作成に成功。
『アイアン・ゴーレム』:モンスター:☆☆☆☆☆:中:1ヶ月
アイアン・ゴーレムを1体召喚する。ゴーレムは、魂無き命を持った存在である。
鉄でできた人形を素材にしている。
魔晶石により、動力を強化されている。通常稼働の時間は、50日。
昔作った、魔晶石を合成した鉄人形を使った為、こんな感じになった。
動力は魔力かな。なるほどね。