19-3 血玉の検証、そしてゴーレム
身内には情報共有を行なう。
署長さんとか、外部には伝えない。
念のため、黒岩の里を含む隠れ里に、奴の情報を書いた紙を隠す。
大まかな方針としては、その様にした。
現状、俺たちは外に使える伝手が無いので、これが精一杯だと思う。
このことが知られたら、雄総という奴に隠れ里が探し出され襲撃を受けかねないが、そこは受け入れるべきリスクだと思う。
それと、追加で手に入れた『幽暗の大蛇の血玉』だけど、血玉をコピーするよりドールをコピーした方が低コストという事もあり、いくつかの検証ができた。
血玉を抜き取ったあと、もう一度ユニットとしてのカード化は、“できない”。
血玉が生命維持装置的な物なのかどうかは分からないけど、ドールになった時点で血玉は抜き取りは不可逆な存在になっているようだ。
血玉を戻してもカード化できないあたり、何かありそうだと思うが、まだ検証が必要だろう。
あと、生きたまま血玉を抜き取っても死ぬ。
できるだけ傷や出血を少なくして抜き取ってみたんだけど、どうやっても死ぬ。
「血玉=生命維持装置」という仮説は今のところ正しい。
あとは、生命力の供給源的な役割をしているのか、それともキングストン弁的な役割をしているかの検証となる。
ドールになったら血玉からもたらされる何らかのパワーをエネルギーに生きていく事になるのか、それとも生命力に相当する物の流れに打ち込まれた楔で、抜くとそこから生命力が漏れて死んでしまうだけなのか。
これが分かると、色々と血玉が使えるようになるんだけどね。
血玉の進化や合成に関しては、魔力のコストが重いし他に優先したい事があるので、もう少し先にする予定。
村をカード化してなかったら、もっと余裕があるんだけど。あれで魔力の最大値が減ったのは、とても痛いよ。
他の実験というか、ドールを召喚して分かった事。
ドールは基本的に俺の言う事を聞かない。
「自我が汚染されている」の言葉通り、俺の言う事を聞こうとする発想が無いというか、とりあえず俺に敵対する。
ぶっちゃけ、そのままでは使えない。
なので、使えるようにしてみた。
『ヒューマン・ドール』:モンスター:☆☆☆:やや小:10日
ヒューマン・ドールを1体召喚する。ドールは、正しく自我を持たない人形と化した者である。
自我の汚染から回復しており、現在は『創』の命令を聞く。
自我を持たせる事はできなかったけどね。汚染を解除する事はできたよ。
ただ、記憶の転写? それが無くなった事でアサシンヘッドじゃなくなった。今はただのヒューマンである。
カテゴリはモンスターのままだけど。
で、自我を回復させたら俺が登録された。
あと、☆が一つ増えた。
使いやすくなった分、全体的にコストがちょっと重くなったよ。
あとはねー。
ドールの進化や合成関連なんだけど。
こいつ、ヒューマンの部分はスキンがヒューマンだって意味で、そこを別な物に置き換えられる事が判明。
ヒューマン・ゴブリン系・オーク系と合成すると、対象をドールってモンスターに変更する。
『ディズオーク・ドール』とかね。
そして進化に関しては……『ヒューマン・ドール』が、ただの『ゴーレム』になった。