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2-02 大垣に着く

 ここ1年でも色々とあったけど、最近、ちょっと気になることがある。

 それは、ゴブリンの集落の扱いだ。


 それも俺がしているものではなく、人間側にとってのゴブリンの集落という意味で、だ。

 普通に考え、ゴブリンという害獣が町の近くにいれば、駆除するものじゃないのかな? そんなふうに思ったのだ。

 これは俺が今後生きていく上で、一回は確認しておくべき内容だろう。


 それに、何か欲しくなるようなものもあるかもしれない。

 手持ちの何かを換金し、買い物を楽しんでみたい。


 そんな理由で、俺は一度ぐらい、人間の町に顔を出してみることにした。





「御客人たち。美濃の国、大垣市へようこそ!」


 俺が選んだ行き先は、最寄りの町ではない。

 そこから川を挟んだところにあった、別の町である。さすがに最寄りの町に顔を出すほどチャレンジャーじゃない。



 しかし、移動が本当に大変だった。

 家から西へ、片道おおよそ8時間。森を潜り山を迂回し、川を越え。おおよそ1日かかってしまった。朝に出て、着いたのは夕方である。

 半分は偵察のつもりだったが、意地になって移動した結果がこれである。

 足は棒のようになり、息も絶え絶え。死ぬかと思った。


 そうそう。渡し船のおっちゃんと交渉するのに食料をちょっと持っていかれたりしたが、そこは必要経費。初の現地住人との交渉と思えば上出来である。

 つまり金が無いのに食い物だけで乗せてもらえたと、柔軟な対応を喜んでおこう。



 川を渡るときに初めて周囲の町の名前を知ったんだけど、ここは俺の記憶で言うなら日本の岐阜県大垣市だったようだ。

 もしかしたら、どこかに墨俣の一夜城とかあったかもしれないね。確かその辺だろ。


 それにしても、「美濃の国」ね。岐阜県じゃないのか。

 「美濃の国」とかいう言い方は気になったけど、細かい事なのでスルーした。あまり驚いたりすると怪しまれるから。変な印象を持たれるのは避けたい。

 とりあえずニコニコ笑っておく。



 それにしても、日本だったんだな、ここは。

 パラレルワールド? になるのだろうか。俺の記憶の中の日本にゴブリンは……いなかったよ、な?

 ちょっと自信がない。


 俺が渡ったのは揖斐川で、川の反対側は――それなら岐阜市か?

 俺は岐阜市のどこかにいたらしい。もしくは山県市。

 このまま西に進めば滋賀に京都に大阪府。反対側に抜ければ関市でその先には長野か静岡。南下すれば愛知県と太平洋、海がある。


 あ、滋賀は近江の国で愛知県は尾張の国かも。美濃の国って言い方に合わせれば。

 パラレルワールドだし、何かしらの違いがあってもおかしくないけど。間違っていたら間違っていたで特に問題もないだろ。適当に、そういうのに詳しそうな人と話をしてみるか。


 俺の目的は、そうだな。伊勢神宮参拝とでも言っておけばいいか。

 この世界に伊勢神宮があるかどうかは知らないけどね。



 さて、俺の地理情報が正しいかどうかは後で確認するとして、もしも情報が一致するなら名古屋の方には行きたいよな。


 これまで塩で困った事はあまり無いけど、海水とか欲しいし、海の幸も食べたい。

 さすがに養殖は無理でも、カード化して美味しい魚をいつでも食べられるようにしておきたい。

 海を目指す価値はあると思う。



 まずはここ、大垣で資金の調達だな。

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