18-4 身体の違和感①
「あー、何がどうなった?」
目が覚めると、自分の部屋だった。
俺はベッドに寝かされており、その傍らには夏鈴がいる。
細かいことは覚えていないが、俺は倒れ、ここまで連れてこられたのだろう。
まずは状況を確認するため、夏鈴に話を聞くことにした。
「創様の結婚について話をされていましたが、創様が何かを考えた途端、顔色を悪くされて倒れられました。後は私が部屋まで運び、傍に付いていました。
倒れられてからは、2時間ほど経っています」
夏鈴は俺が聞きたい情報を簡潔に教えてくれた。
成る程、と納得するが、気を失う前後のことはよく覚えていない。
記憶が曖昧で、覚えているのは辛く、苦しく、そして何故か安心したというイメージしかなかった。
夏鈴がここに連れてこようとした時に安心したという事だろうか?
おそらく、そうなのだろう。
「ありがとうな、夏鈴」
ならば、まずは夏鈴にお礼を言おう。
そして他の3人にも心配をかけたのだから頭を下げよう。
いや、俺は倒れたのだったな。
その前に自分の身体のチェックをしないといけないか。
「んー、ん? んん?」
ベッドの上で身を起こし、身体を捻り、腕を動かす。
特に違和感はないと思ったが、右腕を動かした時に違和感があった。
「夏鈴。俺が倒れた時に右腕をぶつけたとか、そんな事があったとか?」
「いいえ? その様なことはありませんでした。『ヒール』は凛音に使わせましたが、どうかなさいましたか?」
「いや……。右腕を動かす時に、こう、何か違和感があってね」
なんだろう?
肩を上げ、腕をゆっくり動かしてみると、これまで動かせた範囲に腕が動かない。
身体が硬くなっている?
「少々失礼します。
……私では分かりかねます。ジンに連絡を取り、診て貰った方が良い様ですね」
心配した顔の夏鈴が俺の肩とその回りを触診するが、特に変わった所は見当たらない様子だ。
ならば専門家に。医者であるジンを頼るよう、進言された。
そうだな。
素人判断で体調を勝手に判断するのは良くない。
何かあってからでは遅いのだ。
「岐阜市に出向くのは気が向かないけど。変装でもして、こっそり診て貰うのがいいだろうね」
「では、三人にも伝えてきます」
この場に残っても出来ることはないと判断したのだろう。
夏鈴は俺が大丈夫そうだと分かると、すぐに部屋を出て、外出の手配をしに行った。
岐阜市、かぁ。
あの面倒くさい国主に捕まらないと良いな。