表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
全国ネットワーク
440/729

17-23 チンピラ教育

 話し合いをしたからと言って、すぐに何かあるわけではない。

 ちょっかいをかけられたら、という「何かあった時の対処法」は備えであって、自分たちから仕掛けるような行動ではない。

 備えというのは、必要な時が来るまで埃をかぶっているものだ。


 まぁ、すぐに出番が来る事もあるのだが。





「すんませんっしたー!」

「「「すんませんっしたーー!!」」」


 大垣市から流れてきたチンピラ10名。

 ニノマエで店員に因縁をつけて、値引きしろと暴力的な脅しを仕掛けてきたのでボコボコにした。

 フラグ回収は速攻だった。


 

 ニノマエの店舗は、フリーマン3人を含めそこそこしっかりした警備体制を敷いている。

 店を用意したもう何年も前からそうやって守りを固めているので、最近は襲ってくる奴が出るなど非常に珍しい。

 そういった事を知らない外の人間も、普通はそこまで無体を働かないものなのだが。



「ちょっと小遣いくれるから、店の(モン)を脅して少し安く買ってこいって言われたっす!

 サーセンっした!!」


 なんでこの手のチンピラは未だにチンピラ語というか、三下口調なんだろうか?

 そんなどうでもいいことを考えつつ、処遇を決める。


 頼まれた、と言うが、相手の外見はスーツに七三の男と言うだけで、取り立て特徴を覚えてもいない。身長は俺よりやや低めで170に届かないぐらいだったと言われても、それで誰か判別ができるほどの情報は無い。

 とりあえず、俺が過去に大暴れした事もあって、子飼いではなく外注を使う事で身を守るようになったみたいだ。

 発注元は相手が分かり次第潰すとして、こいつらをどうするか?



「どうでしょう? 要らないのではありませんか?」

「だよなぁ。組織とかじゃないし。目的から外れるよね」


 練習という事で、こいつらを使いこなしてみようかと思ったが、こいつらは組織と言うか、ただの集団である。

 集まり騒ぎはするが、暴走族とかのように迷惑行為をするだけで、組織として働いているわけではない。こいつら、普段は実家で冷や飯食いである。


 チンピラらしくカツアゲなどはしていたようだが、女を襲うとかそういった事はやっていなかったようなので、その点はいいんだけど。

 集団を組織に変えるなら、まずは働き口を探さないといけないんだよね。出来ればニノマエ以外で。


 ぶっちゃけ、彼らに職を斡旋するとか、起業させるとか、そんな手間をかけられるほどの意義が見いだせない。



 二人で「要らない」という結論を出そうとすると、凛音が俺の服を引っ張った。


「要らないなら、貰っていい?」

「何をするんだ?」

「魔法の練習をさせる」


 この世界、生産性が低いせいで、魔法使いが非常に少ない。

 凛音はそこに目を付け、衣食住をこちらで提供する代わりに、魔法の練習をさせ、魔法使いの一団を作りたいと言い出した。


「魔法は気合。根性があるなら、何とかなる。覚え始めは馬鹿なぐらいでちょうどいい」


 彼らの中に才能でも見い出したのか。凛音は任せろと自己主張をしている。

 ふむ、と一考し、夏鈴を見る。

 夏鈴は無言で頷いた。


「よし。じゃあ、任せる」

「大船に乗ったつもりでいて」


 やりたい、というなら特に反対する理由もない。

 彼らは凛音に預けることにした。





 拒否権?

 無いよ、そんなの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ