17-14 隠れ里の構想
強化により、夏鈴には色気が出てきたというか、やや大人びて見えるようになった。
年齢が1つが2つは上に見えるようになり、外見的な変化の無さをフォローできる、視覚的な変化を行ったわけだ。
ただ、その為に☆4つでは最後の強化枠を使い切り、次回はもう進化しか無いと言う所まで追い込まれてしまった。
進化後の外見変化が少しの範囲で収まってくれれば良いのだが、大きく変化した時は目も当てられない。
そうなると、来年あたり、夏鈴には難病のため長期療養という名目で引きこもってもらい、時間をおいてから顔を出させることになるのだろうね。
大きな変化があったとしても、しばらく会っていなければ分かりにくいだろう。
夏が終わる頃には台風が多くやって来る。
天気予報など無いので、いつ台風がやって来るかは分からない。日々の備えが大切だ。
「創様。大水路と地下放水路の確認が終わりました。問題はありません」
「そっか。なら、今年も大丈夫だね」
そろそろ台風の季節という事で、夏鈴には地上の大水路と地下の放水路の確認をお願いしておいた。
特に問題ないのであれば、水害対策は万全と言える。
このゴブニュート村は、このあたりでは比較的高めの土地にある。
水害に強いからこそ、ここにゴブリン村が作られていたのだ。そのゴブリン村の後継者であるゴブニュート村は、基本的に水害に強い。
しかし、強いことと無敵という事は違う。
残念ながら、ここ6年の間、1回だけ床上浸水の被害があった。
これを少ないと見るか、多いと見るかは人によって違うだろう。
俺は一応だが、対策をすることにした。
それが地上と地下の水路である。
地上には川のような溝を掘り、水の逃げ場を作った。
途中から地面にそのまま放水することになるので川にはならないが、水の逃げ場があると、それだけで雨が降った時に地面のぬかるみが無くなる。
そして大きな水害が予測される時は、地下に掘った巨大空間に水を流し込み、その場を凌ぐという対策を取ることにした。東京にある、水害対策を真似たものだ。
この地下空間は村の真下では無く、村から1kmほど離れた、何も無い土地の下に作った。
普段から水が入り込まないようにコンクリートで固めるなど、時間と手間はかかったが、その効果にはわりと自信がある。
1km四方の土地を50mほど掘ったので、かなりの貯水量を誇るのだ。
正確な貯水量は、空間を支える柱が多いため、よく分からないけどね。緊急避難としてなら効果はあると思うんだ。
なお、露天では無く地下になった理由は、掘る時の音がもの凄くうるさかったから。
魔法で掘っていたんだけど、1km離れた村にまで音が響いてしまうので、地下で掘って騒音を軽減していたわけだ。
天井はただの騒音対策である。
こうやって村には作るのが大変な施設が結構あるので、逃げる時はどうしようかと悩んでしまうのが一つ。
新しく村を作る時、こういった施設も作るかどうか悩んでいるのでもう一つ。
悩みのタネというのは、気が付いてしまうと、どんどん増えていく。
山の上にでも作ってしまえば水害対策は考えなくても良いのかも知れないけどね。
そのときは、土砂崩れに怯えることになるのだろう。
まぁ、いくつもパターンを試して、全滅しないようにすれば良いかな?