1-25 残りのリザルト
草原狼やらなんやら、他のカードでも多くの変化があった。
『草原大狼』、初期に手に入れた『草原狼』を進化させたカードだけど、これがさらに進化した。
『草原大狼の群長』。
ゴブリンで言うチーフのような、リーダー系のカードになったのだ。
これで『草原狼』も『草原狼の群』へと重ねることができるようになった。
こうなると3匹しかいない兎もリーダーができれば5枚一組にまとめることができる、と思う訳だが……そこまで兎を確保する気にならないので、この案は保留にしておく。
魔法関係はまだ元になるカードを増やす時期なので、『コピー』で複製しただけだ。大きな変化はない。
ただ、『ヒール』で手足の欠損や異常な回復状態が治せないので、『ヒール』1枚は回復効果をひたすら強化し、そういった酷い怪我にも対応できるようにしたいと思う。
病気なんかの治療もできないと怖いし、今はまだ大丈夫だからと言って油断せずに備えたい。
ゲーム的な思考だけど、『再生』とか『リジェネレート』とか、そんなスペルカードがあっても不思議じゃないから。
『復活』とか『リザレクション』なんてカードがあったら、大騒ぎになるだろうねぇ。
どうせ俺には使えないし、必要ないだろうけど。
あ、自動蘇生系のカードだったら欲しいかな。
そういう意味では、あの捕まった人たちとの出会いは俺にとって有益だった。
最悪を想定する意味でも、この世界の現実を知る意味でも。
『カード』という強いギフトがあるとはいえ、人間だから死ぬときゃ死ぬんだよ。
それを忘れないように生きていこう。
最後に。
『ヒューマン・スレイブ』:ヒューマン:☆☆:中:10日
人間の奴隷を1体召喚する。最低限の知識と技術しか持たないので、何をするにも教育が必要。単純労働しかできないだろう。
新しいカテゴリ、ヒューマン。
モンスターではなく、ヒューマン。
何がモンスターと違うのか分からないけど、ヒューマンはヒューマンらしい。
その割にはカードの説明文には人間と書いてある辺りがよく分からないけど……気にしてもしょうがないか。
そこはいいとして、気になったのはカードの絵柄。
カード化する前の彼らとは全く違う絵が描かれている。召喚してみても性別だけ同じ全くの別人が出てきた。年齢も違う。捕まっていた人たちよりも、もっと若い。
つまり、カード化された段階でカテゴリ的なものだけが残り、元になった生き物とは違う誰かが登録され、召喚されるのだろう。
今まではゴブリンや狼、兎だけだったからさ。あんまり気にしていなかったよ。
ゴブリンの顔の区別ってつかないし、個性があっても比較してなかったし。
思考停止って怖いね。
もう召喚してからいうのもアレだけど、これなら死んだ彼らを冒涜することは無さそうだ。
気兼ねなしに使っていいだろう。
俺はそんな結論を出したけど、この2枚のカードを他のカードとは別の場所に片付けておく。
それでも、なんて考えてしまうから。
もう少しだけ、気持ちの整理ができるまでは、封印しておくよ。
ガキの俺にはちと重い。