16-17 試食会
いくつかあった問題点の指摘と、その対策を話し合った後。
やるべき事と言えば、試食会だ。
すぐに試食会をしなかったのは、お土産の点数が多く、数が少なかったからだ。
しかしカードのコピーでお土産料理を複製し終えると遠慮は無くなり、食べ尽くしても構わなくなった。
むしろ、人気を調べるために色々と食べさせてみたいところである。
「まぁ、カード利用枠に引っ掛かるから、そこまで無茶はできないんだけどね」
今回は新しいものへの評価というのは難しい。
旅先で「美味い! お土産に買っていこう!」と思った料理が、家で食べてみると何か違う、というのはよくある話だ。旅の雰囲気と併せて楽しむ物もあるので、それはしょうがない。
少なくとも村で取り入れていくのなら、村の料理と併せて、ここで食べて美味しいと思えることは必須だ。
なので、あえて出せる数に限りがある事を制限と捉えず、一つの料理を食べ過ぎないようにするルールと考え、みんなにもそのように考えるようにと伝えた。
「あー、この肉、美味い。牛の肉でも、こんなに種類があるんだな」
「でも、タレと併せると肉の味が隠れないか? ここは塩とワサビで食べるのもいいんじゃないか?」
「ワサビじゃなくて柑橘の汁をかけて食べても良さそうですねー。塩も何パターンか試してみたいですけど量が……」
「これおいしー!」
「でも、もう無いよ……」
「えぇ……。私、まだ食べてないよ」
「これ、村でも育つかな?」
「育っても、同じ味になるとは限らないですけどね」
「水と一年を通しての気候と地形、土と育て方。そこまで調べても再現できないって話ですからねー」
「これは……3番の酒だ!」
「当たり! アタリを引いたからもう一杯!!」
「この組み合わせ……これに決めた!」
「樽だ、樽持ってこーい!!」
試食会はバイキング形式だ。
一つの料理を大量にとる事が無いようにと言い含めてある。
単純に、料理の味を楽しむ者。
より美味しい食べ方を追及していたり、自分の嗜好を語る者。
美味しいと絶賛されたものがあっても、食べ逃した場合は悲惨だな。空になった大皿から、取り過ぎと思われる友人の皿に視線を移し、虎視眈々と奪う機会を狙っていたりする。
別の所では、同じ農作物を作れないかと盛り上がる。
旅に行ったメンバーを捕まえ、現地の気候について詳しく聞いていたり、なんで土もお土産にしてくれなかったと嘆いたり、忙しそうだ。
あそこに加わると酷い事になりそうな予感がある。
あとは、酒を飲んでいる連中。
利き酒をしていて、何人か、既に轟沈している。
楽しそうではあるが、味が分かるのか心配になる。
あと、チャンポンは止めるように。
単品の味が分からなくなるだろうが。そんな雑な混ぜ方、カクテルとは言わん。
そしてがぶ飲みするんじゃない。のど越しを楽しむにも限度があるだろうが。もっと味わって飲めよ。美味いんだからさ。
試食会も後半になると、足りない料理と呑兵衛たちにより、場が混沌としてくる。
料理の感想は全体的に好評、しかし常食に向くかどうかはまだ分からず。
酒は度数が強いこともあり、味が良くとも飲み手の経験不足。評価は保留。
まずまずの結果かなー?