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16-13 中陸奥の製鉄業①

 旅先における無目的な休暇というのは、意外と暇を持て余すものだ。


 昨晩、寝ずの番をした者たちはまだ良い。寝ていればいいのだから。

 ただ、俺をはじめ他のメンバーは、早々にやる事がなくなった。眠くないから寝る必要はないし、宿で待機するにはする事がない。

 室内でする娯楽、リバーシなどはあるけど、それを延々とすると「自分は何をしているんだろう?」と疑問に思ってしまうのだ。


 本の類がもっと安定供給されていれば良いのだが、活版印刷や版画と言った技術があっても、製紙などの技術がネックになり、娯楽小説が大量販売されるという事はない。

 紙やインクを用意するのはもの凄い手間なのだ。


 まぁ、活版印刷や版画も、機械や原版の、最初の用意が大変だからなぁ。

 あれはお手軽な印刷とは違うのだ。





 暇を持て余した俺たちは、交替で外に出る事にした。

 そしてタダ外に出てもやる事が思い付かないので、仕方なしに何か仕事を作って動く事にする。



「夏鈴。食料品の品目と値段の確認は任せて良いか?」

「創様は工業製品の方ですね」

「では、宿で合流すれば良いから。任せた」

「はい。お任せ下さい」


 ぱっと思い付く仕事と言えば、市場調査だ。

 俺と夏鈴はそれぞれ護衛を1人付け、別れて色々と調べ回る。

 

 このあたりは穀物栽培が盛んなのか、家畜の数も多く、野生動物(猪など)のだけでなく家畜の肉も出回っている。

 が、そういった方面は夏鈴に任せ、俺は中陸奥の工業製品、工芸品を中心に見て回った。



「中陸奥の製鉄も侮れないな」


 鉄製品がそこそこで回っており、その品質も良い。中陸奥の工業力の高さが窺えた。


「そりゃあ、せっかくの鉄製品で質の低いのを置いていたら、売れやしないよ。

 高い買い物に妥協するようなバカなんて、滅多にいないんだからね!」


 店主さんは豪快な人で、体格も良く豪腕といった雰囲気を持っていた。

 こういった店は金を持っていそうだから、襲われた時に返り討ちに出来る強さが求められるのかもしれない。

 もしくは、重い荷物を運ぶ事で身体が鍛えられ、筋肉男に育ったという事か。



「こっちも鉄製品を扱っていてね。これとか、売れないかな?」

「残念だけど、ウチは買い取りはしていないんだ。お得意さんの工房とだけしか取り引きはしない。悪いね。

 ああ、でも、ウチじゃなければ買い取りをしてる所もあるよ。あっちの方の店とか、特に専属契約はしていないから。

 見分け方は、店の看板、ほら、ここに専属工房のロゴが入っているだろう? 専属がなければ、このロゴが無い。ここを見れば一発さ。

 あとは工房に直接持ち込むか、だね。鉄の重さと質で売る事になるけど」


 どうせだからと、店主さんに取り引きを持ちかけてみた。

 が、特定工房の直営店らしく、買い取りは拒否された。

 残念だが、無理を言う所では無いので、あっさり引き下がる。



 しかし、そうやって工房のロゴがあるとか、ここ中陸奥は製鉄、鉄工業が盛んなのかね?

 数が多くなければこんな事はしないだろうし。


 宮城、仙台、鉄……。

 俺の記憶には引っかからないなぁ。

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