表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
401/729

16-10 武蔵の国③

 俺は免除されているが、寝ずの番をした翌日は辛いものだ。

 中途半端な睡眠は、多少の疲れを取ってくれるが、ゆっくり寝たときのような完全回復には至らない。


 そんな理由から寝ずの番は二人一組の二交替を基本としている。

 全員がちょっとずつ不調になるより、負担を一部に押し付け、完調のメンバーを何人か作った方がいいと判断した。


 宿に泊まったときでも寝ずの番は必要だ。

 宿の人間が盗賊モドキで、寝ている間に荷物を奪われ殺されたという商人の話をたまに聞くからね。

 自分がその“たまに”になるなど御免なのである。



 今回の寝ずの番で、莉奈と終、魔剣部隊の一人が普段と比べ、眠そうにしている。

 他のメンバーの半分しか寝ていないので、眠いのは当然だ。それに、この三人は二回目だった。

 寝ずの番の担当を追加の召喚で誤魔化すことも出来るが、練習にならないから本番と同じ行動をしないといけない。

 そして本番で不安を感じないように、対策をとりたい。



 旅はしばらく続くので、どこかで一度、1日ゆっくりと休みをとった方がいいだろうか。

 昔の人の旅は、歩きだと1日で20kmぐらいと言うが、たまに休息日を入れるからそれぐらいになるんじゃないかな。


 一回二回の徹夜ぐらいは耐えられるけど、間を挟んでも、それが続けば無視できない負担になる。

 無理をする必要はない。遅くとも明日には仙台に着く予定だから、今回の日程には余裕がある。そもそも、多少遅れる可能性は最初から考慮してあるよ。

 ギリギリのラインを攻める事なく、今は安全に旅を続けることを考えよう。



「今日は移動を続けるけど、明日は休みにしよう。一度疲れをとって、それから帰ればいい。

 それでいいかな?」

「創様、まだ大丈夫です」

「うん。まだ余裕」

「ご主人。今は戦闘に支障が出るほどキツくないぞ?」

「そうか? 動きが鈍っているように見えるけど」


 移動の休憩時間。

 俺はみんなに休みを提案したが、要らないと言われた。

 話を続けてみると、どうやら旅先で休息をとるより、早く村に帰ってゆっくりしたいらしい。

 それに、1日おきなら誤魔化しも利くと、体調面も言われるほど悪くないと主張している。

 本当に大丈夫か?


 俺は意見を言わない莉奈の方を見た。


「くー」


 静かだと思ったら、寝ていた。

 眠かったのだろう。休憩時間になった途端に、話し合いに参加もせずに寝ていたのだ。


「やっぱり、休憩は必要じゃないか?」

「……はい」


 俺は空気が読めていなかった様だ。せっかくの休憩時間に話し合いの場など設けず、素直に休ませるべきだったな。


 眠い、疲れているという相手には、話し合う前に休ませる。

 相手の疲れがある程度取れてから話し合えば良かった。


 最初は休息日を設ける事に反対だった面々も、疲れて寝てしまった莉菜の前では口を閉ざした。

 旅は、そこまで急ぐ事もない。

 慌てずに安全に続けようじゃないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ