15-15 鬱陶しい連中
面倒くさいのは、有力者に操られた一般人の相手。
神戸町でも、「話をするように頼まれた」と言うのが結構な数、出始めた。
連中はまずは俺に名前を覚えさせるために、色々と手を打っていったようだ。
数が多いし話半分でスルーしたのだから覚えてはいないけど、もう一度名前を聞けば「ああ、聞いた事がある」と思い返す事は有り得る。テレビのCMとかと同じだ。
そうやって思い出した相手と全くの無名の相手と比べると、やはり名前を知っている方が選ばれやすい。
関わるつもりは一切無いんだけどね。
そうやって名前を売っている連中は穏当な方。嫌な気分にさせられるのは、引き抜きを仕掛けている連中だ。
こいつらはニノマエの店員を強引に引き抜こうとしていたり、愚かにも俺の護衛――全員カードから召喚している――に鞍替えを提案していた。
真っ当な手段というか、普通に交渉している所には2人ほど抜かれた。
少年やスキンヘッドとかがいるので、そこまで痛手ではないが、痛くないわけではない。
強引な手法を取った連中は、普通に逮捕された。
俺と相手では証言の信ぴょう性に差があり、警察は俺の証言を重視してそういった連中を捕まえていった。
捕まえた後に出てきた証拠で、そいつらを唆した連中までは捕まえられないものの、実行犯ぐらいはいなくなった。
あと、ウチの護衛は引き抜きに応じる奴などいないので、相手をするだけ時間の無駄である。
無視が基本で、腕や肩を掴むなどの行動に出たら反撃で骨の一本ぐらい折ってからお帰り願うようにしている。
殺さないようにするのが大変、といったところか。
ここまでが、まだマシな連中である。
面倒くさいではなく、俺たちが積極的に排除しているのは、暗闘を仕掛けてくるような連中だ。
俺に襲撃を仕掛ける奴、ニノマエの連中に襲撃を仕掛ける奴。あと、ニノマエの取引先にまで襲撃を仕掛ける奴。とにかく、暴力的な連中が多かった。
実行犯は全て奴隷落ち。
カードになっていただいた。
こういう事をすると、行方不明者が多数出た事になるので、普段はやらないんだけどね。襲われた後は、それを命令した奴まで狩り返すようにしている。
殺しはできるだけしないように言われているが、「できるだけ」だ。絶対にやってはいけないとは言われていない。
相手が仕掛けてくるのだからしょうがないと、そこは気にしない。
少なくとも、俺から殺しにいくことはしないと断言できるし。これは相手の自爆なのだ。
よく言われてる、「銃を撃っていいのは、銃で撃たれる覚悟のある奴だけだ」ではない。
「銃で撃ち殺していいのは、銃を撃っている奴だけだ」の精神である。
上記のものだと、撃ち殺される覚悟があれば無辜の民を撃っていいことになるからね。駄目に決まってるだろうが。
そんなわけで、春を目前に暗殺稼業ばかり。
しばらくはこのままだろうね。