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15-1 喋らない男

 想定外の出会い、「水無瀬 裕」少年との関係は主に雇用によって続いている。

 こちらは一度、谷底に付き落とす勢いで尻を蹴飛ばしたので、後は這い上がってくるのを待つばかりである。



 しかしこちらは予定通りの行動であるのに、とてつもなく頑固であるため、手間がかかっている。

 岐阜の警察署の元署長「我妻 正義」、こいつがまったく口を割らないのだ。


 薬物なども使用してみたが、効果は無い。耐性を持っているようだった。

 現在、莉奈が専用の薬を調整中である。



「暗殺者の頭領の口が堅いのは想定範囲内だったけどね。長引くね、これは」


 報告は受け取っていたけど、たまには顔を出しておこうと、吾妻を収容している地下施設にやって来た。

 2ヶ月かそこら顔を見なかったのだが、筋肉質だったころの面影は残っておらず、ほぼ骨と皮だけになっていた。

 それでも油断する気は無いが、これなら多少反撃があったとしても、尋問担当の下忍衆に被害が出る事は無いだろう。


「それじゃあ、追加の物資として、これを置いていくよ」


 拷問を長々と見る気は無いので、状況を確認し渡す物を渡したら、さっさと撤収だ。

 俺は下忍衆用の食料といくつかの道具を渡すと、早々に帰宅した。


 なお、今回渡したものの中で目玉となるのは「姿見の鏡」だ。

 高さ2m、横幅1mの大きな鏡で、これなら全身が綺麗に映る。


 何年も鍛え上げ続けた筋肉が失われ、骨と皮だけになった自分の姿を鏡で見る。

 それはいったい、どんな気分だろうね。





 尋問だが、出来れば冬が終わるまでに結果が出ればいいなと、そう思っていたが、あれはすぐに口を割らないだろう。そこは諦めることにする。

 莉奈には負担をかけて悪いが、自白剤の完成待ちとなる。



 そんな訳で、俺自身は岐阜市にはもうしばらく立ち寄らない事にする。

 何か用事があればニノマエを通じてどうにかしてもらうのが良いだろう。


 そう思っていたが。


「召喚状?」

「はい。創さんに、岐阜市に来るようにと国主から召喚状が届いています」


 厄介事が向こうからやって来た。


「理由は?」

「機密扱いなのか、書いてありませんね」

「なら、行かない。俺は美濃の国の所属じゃないからね。従う理由が無いよ。理由も分からず来いと言われても、行くわけがない」

「そう言うと思っていましたよ。創さんがそう言うだろうと、理由を問い合わせしている最中です」


 すぐにどうこうという話ではないが、また面倒くさい事になりそうである。

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