13-20 国主の一手
放置すると決めはしたけど、情報収集はしたい。
だが、こっそりとバレずに情報収集をしたかった俺は、ブラフとして大々的に難民を使うことに決めた。
「給料ははずむぞ!」
月にいくらか渡す契約で、10組の難民を岐阜市に放り込んだ。
彼らにはお金を渡し、家を借りさせ、2ヶ月間は岐阜市で生活して貰うが、やって貰うのはそこまでである。前回のように情報収集をさせることは無い。
情報収集をしないとは言え、俺には前科というか、人を送り込み情報収集をしたという実績があるので、人を送り込めば当然警戒されるし、人員が割かれることだろう。
金満な手段ではあるが、こういった攪乱は有効である。
ブラフの難民はそれで良いとして、本命は下忍衆だ。
彼らはそれが本職なので、確保してある我妻への対応に加え、警察の監視をお願いした。あと、国主もだな。
我妻を確保してあるのは、俺の秘密基地その2だ。
今回の対応のために作った急ごしらえで、ちょっと穴掘りをして床と壁に板を張り、蓋をしただけのものになる。
場所は村と秘密基地その1との中間ぐらいか。
現在は筋力を削ぐための断食ダイエットのはずで、見に行くこともできるが、見に行く気は無い。
吹っ切ったとは言え、見たいものでもないからね。ジンも監督ではあるが、実際に見に行くのは何かあった時ぐらいだ。
回復薬は渡してあるので、死にはしないだろう。
こちらには下忍衆から常時3人と、いざって時のための草原大狼が1頭が割り当てられている。
残る22人が岐阜市に潜伏中。
正規の手続きを経ずに内部に侵入し、何食わぬ顔で生活させる。
今頃、普通に入り込むと、我妻の仲間かもしれないと疑われるからね。そういった誤解を避けるためにそうした。
大垣市の署長さんに紹介され、ここ最近は馴染みになった情報屋。
彼の手も借り、それぞれバラバラに情報を集め出した。
他に出来ることとして、俺との関連が知れ渡っているニノマエを通じ、岐阜市と大垣市に食料をそこそこ売り払ってみた。
売る時には遠方の取引先に無理を言って集めた、そう説明させた。
他所からの購入品と産地を偽ってはいるが、食料の不足・高騰が叫ばれる中で産地にこだわる人は少ないし、すぐに調べる手段など無い。
あまりたくさん持ち込めば怪しまれるが、そこそこ程度であれば問題にはならない。
ちょっとした点数稼ぎである。
そこそこの量を一度持ち込んだだけで稼げる点数、周囲の良い反応というのは無いに等しいが、何もしなければゼロであるし、マイナス側に傾く話ではない。
嘘だけど苦労して集めたというエピソードを作ったし、多少の効果はあると思う。
前から岐阜市で取り引きをしているので、補強程度にはなったはず。
そうやって出来ることを行い、いくつかの布石を打ち、時間が経つこと3日ぐらい。
突っ込みを入れたくなるほど早い段階で、美濃と尾張の国主が動いた。