1-17 米の草原と嵐と???③
「あー。畑の土が流されてる……」
台風一過。
晴れ渡った青空の下で見たのは、荒れに荒れた自宅周辺だった。
恐怖の一夜が過ぎ去れば、また日は昇り、生きるための日々が始まる。
最初にするのは、浸水した床の掃除。泥が流れ込んでいたので、それを掃き出すところからだ。
床の状態がひどく、カードになったベッドはしばらく置けない。
テーブルを使って寝たので体が悲鳴を上げているが、それでも休んでいられる時間は少ない。
生きるための御飯はカードで賄えるが、それでも後々のことを考えれば、遊んでいる時間などないのだ。
俺は夏鈴たちを召喚しなおし、日常に戻るのだった。
我が家の周辺は、完全に泥水に荒らされていた。
地面はいまだに薄く泥水で覆われ、水が引くまでもう少し時間がかかるだろう。
あたりを見渡せば、昨日まで立っていた雑草や稲が横倒しになっていて、普段よりも視界が良くなっている。
畑は俺がチマチマ畑用の土を盛っていたのだが、良質な畑の土は流され、平らになってしまった。
あの土は、石を取り除き、ふかふかになってほしいと枯草を混ぜたりしていたんだけど、全部パアだ。泣けてくる。
いつか使うだろう、今は乾燥させる時期だと積んでおいた丸太は、流されてはいないけど、しっかり水を吸っているだろう。
雨除けはしていたし、ちょっとは持ち上げてあったんだけど……昨夜、一番ひどい時には膝下ぐらいまで水が来ていたので、それだけでは全然足りなかったようだ。
森から持ってきた日除けの木は少し傾き、根元の方に大きめの傷がついていた。何か流れてきたものが当たったんだろうね。後で治しておこう。
被害状況に目を向ければ暗くなるだけなので、今後に備えた対策をしようと思う。
俺は『木の家』のカードを取り出し、レベルと貯まった経験値を確認。
レベルは14で、強化なら2回可能。
あと3ヶ月程度でレベル16になる。
予定では、このまま進化させるつもりだった。
進化させて、もっと大きな家にするつもりだった。
だけど、台風対策もせずに家を大きくすれば、被害が大きくなるだけだ。それはいけない。
「床を高くするのが一番だよね」
イメージするのはお寺の本堂。柱で床を持ち上げ、高くした建物。そうでなければ石垣の上のお城だ。
とにかく家を持ち上げれば床上浸水などしなくなる。今回の浸水を踏まえ、地面から50㎝は高くしたい。
俺は『木の家』の経験値を消費して強化を行った。
すると、俺の中のイメージが複数あったからか、30㎝の石垣の上に、柱で20㎝持ち上げられた家ができた。
壊れた壁はそのままだが、これなら今度の台風にも対応できるだろう。
内装はこれまで通りだが、俺が片付け忘れたテーブルと椅子が家に取り込まれ、1枚のカードになっている。
夏鈴を進化させた時と同じ現象が家の強化でも起きていた。
理由は不明だが、枠がまた空いたのだから良しとしておこう。ついでにテーブルと椅子の経験値が統合されてレベル12で留まったし。
どうせなら、ベッドも置きっぱなしにしておけば良かったかな?




