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13-14 鏡①

 岐阜の警察というと、この世界にやって来た当初、親切にしてくれた人がいた事を思い出す。

 大垣市の貴金属買取店で酷い目に遭った後、岐阜市の警察署の人が親切な対応をしてくれたのだ。


 その効果がどこまであったかは知らないよ。

 ただ、親切にしてもらい、嬉しかったことを覚えている。


 だからね。

 その人とは違うけどさ、下っ端だろうが警官を使い捨ての玩具にした署長は――ぶっ殺す。


 守るべき身内だろうが!

 私利私欲の果てに使い潰すような真似、許すかよ!

 久しぶりに、ムカついた。

 楽に死ねると思うなよ。





 そんな訳で、この外道は生かして連れてきてもらった。

 下忍衆は戦闘要員ではないけど、足りない戦力はジンにも協力してもらい、無理を押し通したのだ。


 この署長。本人もそこそこ強く、薬に耐性があったため、下忍衆に何人も怪我人が出た。ジン一人では厳しかったので、彼らの協力があってこその拉致成功だ。

 幸い死者はいなかったので、現在は癒術部隊が治療中。いや、本当にスマン。そして任務を達成してくれてありがとう。



「それにしても、お前(ジン)が苦戦するとはね」

「ご主人様、残念ながら、今の私に往年の力はありませんよ。もう引退した身なので」


 今回の件で、意外だったのはジンが苦戦した事。

 俺の中でジンはかなり強かったので、けっこう鍛えているとはいえ、この署長に苦戦したというのが信じられなかった。

 ただ、本人が言うには「アサシンヘッド」から「ゴッドハンド」にランクアップしたのが原因だという。

 戦闘職から一般職になったため、☆の数は増えても戦闘能力は低下したという。

 そういう事もあるんだね。


 ちなみに、ここでは個人名は言わない約束になっている。

 俺もジンも、適当な偽名を名乗る事すらせず、「お前」や「ご主人様」などと呼び合うようにしている。

 ……人間関係がバレるのはこの際気にしない。どうせこいつは殺すのだから死人に口なしと言っても、そこは様式美なのである。



「じゃあ、この騒ぎを起こした重罪人はどうやって処分しようか。なぁ、みんな。何か楽しい意見は無いか?」

「そうですね――」


 実力者かもしれない署長は安全のために四肢の骨を砕いてから鉄球を繋ぎ、体は鎖を巻いてから上に重しを乗せ、ついでに巨大な万力で顔と後頭部を挟み頭もがっちり固定してある。ついでにつま先が地面につかない高さまで持ち上げてもいる。

 あと、毒物や暗器を隠し持っているかもしれないので全裸である。紳士の情けとして、股間の粗末な物には漆の葉っぱ(・・・・・)を張るだけの優しさはあるけどね。

 この状況で脱出したり俺に危害を加えようとするのは不可能だろう。出来たら俺もびっくりだ。


 そんな身動きできない署長の後ろで俺たちはこの後の事を相談する。

 ジンは戦闘能力が下がっても医療知識を用いる事で拷問能力が増しており、この無力化した署長が狂うまで痛めつける手段をポンポンと口にする。

 本人の口調は軽いが、内容は一般人ならドン引きするほど(おぞ)ましい。

 いや、俺も――――は、さすがに思いつかなかったね。なかなかやるなぁ。ただ、大量のゴ―――を用意するのは大変だから、それまで殺さないようにしないといけないね。



 この署長、今はまだ喋れなくてもいいやと顔の前後を挟んであるけど、耳はフリーなので俺たちの声は聞こえているはず。

 凄い痛みで気絶しているのなら聞こえないだろうけどね、こちらが何か言う度によく分からない事を言おうとしているので、多分聞こえているだろう。苦痛への耐性も高いみたいだから、こんな状況でも話に意識を向ける余裕があるわけだ。凄いね。


 後ろでこんな会話をされていれば、普通の神経をしていれば気が気じゃないだろう。まったく可哀そうとは思わないけど。


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