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13-13 潜入した結果

 いつもの事だが、俺は殺人事件の容疑者である現状が続くようであれば、岐阜市には寄らない。

 犯罪者扱いされるのにわざわざ行きたいと思うほど、俺は岐阜市の誰かに縁を結んでない。居るとしてもジンぐらいだろう。


 大垣市では無実が証明されているので、そっちには足を運ぶ。

 神戸町も同じで、俺を犯人扱いするのは岐阜市だけである。

 今のところ、行動に大きな制約がかけられている感じはしない。


 が、やってもいない事をやったと言われるのは(しゃく)に障るし、今は無事でもその悪影響が広まったら神戸町や大垣市へ入れなくなるかもしれない。

 手を打たないといけないと思っているのは、そういう理由だ。



 下忍衆を岐阜市に送り込んだ俺は、家探しをしてこの事件の真相、真犯人の存在を暴くべく動いているわけだが……。


「警察は物証を残すほど迂闊じゃない、とはいかなかったみたいだね」

「はい。警察の人事で、十数人もの緊急異動となれば確実に痕跡が残ります。残らないなら、逆にそれが証拠になりましたから。

 そう思ってそちらを中心に調べたわけですが、他にも色々と出てきました」


 国主の側は不発。

 こちらはそれらしい情報が手に入らなかった。

 とりあえず置手紙で警察が警官を使い捨ての暗殺者に仕立て上げた事は告発しておいたので、後は反応待ち。


 警察署と、署長自宅からは証拠が大量に発見された。

 署の方は主に人事関連の偽造書類。彼らは長年勤務してきたベテラン警官であり、入ってすぐの新人ではない。彼らを極秘任務に就かせるという通達は存在しなかったが、明らかに不自然な異動命令書を確保させてもらった。

 で、署長宅からは麻薬と毒物が大量に出てきた。この署長はガチな暗殺者の頭領であったようだ。地下の隠し部屋というベタなものも存在し、そこで調薬をしていたようなので、署長については確定でいい。



 そうなると、だ。

 国主が真犯人であるという疑いを、俺は未だに抱いているが、まずは署長を排除する事から始めてもいいんじゃないかと思っている。


 署長が暗殺者の頭領とすると、こいつはただの道具で、依頼人が居るっていうのが定番だからね。

 実は頭領は別人で地下の部屋は貸しているだけ。署長本人は部下である頭領の、暗殺の力で成り上がった。そんなストーリーも思い浮かぶが、どちらにせよ、署長が暗殺者と関りを持っていないという可能性はゼロである。


 つまり――()って良し。



 この件についてはジンと相談しつつ、それから実行するとしよう。

 ジンが自分でやりたいと言い出すかもしれないからね。別組織とは言え、ジンは暗殺者の元頭領だし。


 書類を盗んだのでこちらが忍び込んだことはすぐにバレるだろうから、署長の方は下忍衆から5人が監視の任務に就いている。

 国主の方はいきなり姿を隠す事も無いだろうし、そっちはまだいいやと高を括っている。


 あ、盗み出した書類は写しを作って国主の方にも渡しておくか。

 原本は手元に残しておくけど、あっちにもこの情報はあった方がいいよね。

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