13-11 潜入調査②
今回の件で犯人と目される国主だが、同時に押さえておきたいのが警察署の署長である。
この2人の自宅と職場の2ヶ所、計4ヶ所を出来るだけ同時に調査させるつもりだ。
方法は夜中に侵入させ、自宅組は家人、職場組は夜勤の者を拘束し、悠々と証拠漁りをする押し入り強盗スタイルでいきたい。
だが、この方法を取ると俺が犯罪者になるので却下。
悪と戦う場合、正義の味方は行動に制約が多くて困るよ。正義の味方というか、俺自身はただの一般人のつもりだけど。
誰もが寝静まった夜中に侵入するところまでは良いとして、こそこそと証拠集めをさせて、バレる前に撤退する。基本はこれでいこうと思う。
この方法も犯罪なんだが、バレなければ、訴えられなければ犯罪ではないのだよと、心に棚を作って自分を誤魔化す。
そもそも、こうやって犯罪に手を染めなければどうしようもない状態なのが悪いんだ。
容疑者の家を家宅捜査する場合は裁判所で令状を取ってくる必要があったと思うけど、俺は刑事じゃないから令状は取れないんだよね。
どう頑張っても正規の手段は取れないし、その正規の手段を取れる相手が犯人なのだから、この場合は緊急事態における超法規的措置と扱っていいはずだ。
こういう時、権力者の横暴が許される社会って怖いよね。
で、「家探しにおけるスペシャリストは誰かいないか」そう思ったが、居ないという事で結論が出た。
建築系のジョブに就いたモンスターはいないし、探偵などもいない。
仕方が無いので、そういった事が得意そうなのを作る事にする。
まず、求められるのは観察力。
証拠となる書類があるとして、その証拠が普通の書類としてファイリングされているという可能性は……無いとは言わないが、低いと思う。
どこかに隠されているのであればそれを見つけ出す観察力が必要だ。
それと、人にバレないようにする隠密能力。
コソコソとするつもりなので、この能力も必須なのは言うまでもない。
あとは、証拠が証拠であると理解できる頭の良さ。
証拠集めだけどね、何らかの隠語を使われている場合、それを見抜いて証拠と看破する頭が求められる。
以上の能力を求めて、25人一組の戦隊を作ってみた結果。
『ゴブニュート下忍衆』:モンスター:☆☆☆:中:1ヶ月
ゴブニュート下忍衆を召喚する。下忍は忍者の実働部隊である。調査・逃走に優れ、情報収集に力を発揮する。
忍者である。
NINJAではなく、忍者である。
少々想定から外れたが、これはこれで美味しいので良しとしておこう。
忍び込む仲間はこれで良いとして、あとは装備だな。
足音を消す靴と、闇に紛れる黒装束ぐらいは用意しないと。
「いえ、怪しまれないようにするため、普通の服を用意していただきたいのですが」
あー。周りに溶け込む方が大事なのね。
それなら買ってくればいいかな。