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13-9 身の振り方

 襲撃者改め、元暗殺者。

 彼らは普通に警察官になったが、ここ最近になって秘密の作戦があるからと、何人もの警官がかなり厳しい戦闘訓練を行っていたという。

 それが始まったのは1ヶ月前で、殺人事件よりも前の話である。


 つまり、今回の件はそうとう前から準備された計画的な犯行という訳だ。

 しかも、犯人はそうやって人を使い捨てにすることができる立場の人間だ。美濃の国の国主が犯人という説がより説得力を増した。

 流石に彼らは国主と直接顔を合わせていないので、まだ絶対にそうだとは言い切れないけど。



 情報は引きだした。

 これ以上聞きたい事は無いので、彼らはもう御役目御免だ。

 で、彼らをどうするのかという話になる。


 俺の中では、彼らは被害者だ。

 襲い掛かってきたとは言え、自分の意思ではないし、あれだけ酷い目に遭ったのだから、被害者仲間と言う認識でいる。これ以上酷い扱いはできない。


 しかし、ぶっちゃけてしまえばカード枠の問題があるので、彼らを召喚し続けておくメリットが無い。

 そしてカード化を解除し解放するにしても、行動には一定の制約を付けないといけないわけだ。美濃の国の国主に俺の情報を与えたくないので。

 なお、彼らを殺すという選択肢は、俺の中には無い。


 こうなるとカード化せずに話を聞き、情報を与えず放流すれば良かったのかもしれないが、そうなると尋問で得た情報の確度がかなり落ちる。

 情報の真偽を確かめられないなら最初から全員殺して終わりにすればよかったわけで……何かをするには相応の対価の支払いが必要という事だろう。



 本人らに、意思を確認してみた。


「それなら、しばらく送還してもらって、ほとぼりが冷めた頃に解放してもらえないだろうか?

 今回の一件が片付くまで、召喚されっぱなしというのはこちらの心臓に良くない」

「生き残ったのも治してもらったのも、知られると拙いんだろ? 構わない。寝てるのと同じだろ。その間に事件が解決するならそれでいい」


 二人は送還して欲しいと申し出た。


 彼らは家族のいない孤児であり、家族どころか恋人もいないので、岐阜市に連絡を取りたい相手もいない。

 別に、無理をして岐阜市に戻らなくてもいい。


 むしろ、今岐阜市に戻れば何をされるか分からないので、戻りたくないと言う。

 言われてみればその通りで、彼らは薬漬けにされ、喋れなくなるように喉を潰され舌を切られた。かなり酷い目に遭っている。口封じに殺されたとしても不思議ではない。

 そんな目に遭ったからか、もう警察官の立場を守りたいと思うほど仕事に固執しておらず、むしろ警察の上層部に恨みを抱いていた。



 もう少し相談を続ける。


 口約束ではあるけど、越前の国が解放されたら、この二人は解放してからそちらに送り届けることになった。

 知らない土地で一からやり直すのにちょうどいいから、と。



 話を少ししただけの人を信用するのは不用心だが、極論、殺しという手段をとれないなら、こんなものだろう。

 仲間意識を持った二人がずっとカードのままというのは俺が嫌だし。


 裏切られたら、その時はその時。

 ここ最近になって俺の注目度が上がっているし、人に紛れて生きていくなら能力バレも受け入れるしかない。

 できるだけ遅らせようとはするが、あとどれぐらい持つだろうね?

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