表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
320/729

13-6 調査③

 岐阜市に人を送り込んだ俺は、大垣市を出て、村に戻った。

 大狼の背中に掴まれば1時間かからないぐらいで帰ることが出来るので、それでも特に問題ないのだ。

 人里にいると警察が出てきそうだからね、しょうがない。



 そうして村で5日間の休暇を取り、俺はまた外に出る。

 外に出ると言っても、神戸町や大垣市に行くわけではない。大垣市などで情報の受け渡しをするとまた面倒なことになりそうなので、長良川沿いの羽島で中間報告を聞くことにしたのだ。



「調査に使った難民たちが30人ほど警察に捕まりました」

「は? なんで?」

「理由は分かりません。教えてもらえなかったんですね。正当な理由も無しに逮捕されたんです」

「そんな馬鹿な。いや、横暴すぎるだろ。と言うか、そんな事をするって事はこの事件は警察を動かせる奴が黒幕じゃないか」

「ええ。どうも、そういう事らしいですね。こちらの判断で彼らには待機を指示してあります」


 俺は難民たちに情報収集しか指示していない。

 それ以上の行動をさせれば危険だろうし、敢えて危険なことをさせるつもりは無かったのだ。


 念の為に護衛を雇うこともしていた。もしかするとチンピラを使って嫌がらせをしてくる可能性は考えていたのだ。

 だが警察が難民を逮捕するなど、こちらの想定外だ。ここまで直接的な妨害をしてくるとは思ってもいなかった。


 難民の彼らは一時的な移動を認められているし、人に話しかけるぐらいで捕まることは無い。

 付きまといをするようなタチの悪い連中であれば捕まることもあるだろうが、ちょっと話を聞かせて欲しいとお願いしても、断られたら諦めればいいと言っておいたし、それぐらいは問題無いんだ。


 俺は黒幕、おそらく美濃の国の国主が何を考えているか分からなくなった。

 真犯人である国主は、その事を隠そうともしていなかったのだから。





「とりあえず、無事な連中には10日分の金を払ってそのまま仕事は終わり、解散させてくれ。

 それと残った連中を釈放させるために交渉を進めて欲しい。保釈金はすぐに用意するから」

「了解です」


 俺は情報屋に金を預けると、難民たち調査団を解散させることにした。

 これ以上の調べ物は難しいだろうし、モチベーションは最悪だろう。役に立つとは思えない。


 まだ5日しか経っていないが、こちらの事情で中断させるのだから10日分の給料を払っておこう。


 俺のせいで逮捕された連中には見舞金を用意した方が良いな。危険の無い仕事と言って集めた連中なので、お詫びが必要だろう。

 あとはできるだけ早く解放されるように交渉して貰い、必要ならその為の金も用意する。

 金で解決することは金で済ませてしまうべきだ。



 予定が大幅に狂ったので、最後に、彼らに追加のお願いをしておこう。


「帰った後に、岐阜市で何があったのか広めておくようにお願いしておこう。

 安全だと言われて聞き込み調査に向かったら、警察に妨害され何人も捕まり、切り上げて帰ってくることになったと。依頼主である俺は捕まった連中のために交渉を始めたと。

 こうでもしておかないと、変な噂とかを流されかねないからな」


 こちらから情報戦を仕掛けてみたが、相手の雑すぎる動きにペースを乱された。

 しまったな。これは俺の想定外の手を打って混乱させる作戦なのかもしれないぞ。一見するとアホに見える手だが、もしかすると何らかの意味があり、後でこの一手が響いてくるのかもしれない。

 相手は美濃の国の国主だろうから、俺のような流民では思い付かないような深謀遠慮が隠されているはずだ。



 考え過ぎなら考え過ぎで構わない。

 油断して足下を掬われるよりはマシだ。


 ああ、クソ。

 こうやって考え出すと、どうにも身動きがし辛いな。

 きっと、こうやって俺が考えすぎるのも想定内なんだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ