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12-23 ジン、無罪

 『ヒューマン・スレイブ』を使って岐阜市に食料と鉄を供給させた。

 約束した量に少し色を付けておいたから、後で足りなかったと文句を言われる事も無いだろう。


 俺自身は直接販売している所に顔を出す事は無いから、俺が岐阜市に来てしばらく経ったら謎の穀物と鉄の売りがあったとか、そんな関連性に気が付く人がいるとは思えない。思いたくない。

 わざわざ普段使わない人員まで投入したんだ。気が付かれないよな?

 岐阜市に縁の薄い俺の事だ。動機の段階で違うと思われるだろう、おそらくは。



 岐阜市への物資を手配し終えた俺は、そのまま家に戻り、物資を大量に放出したことを周囲に報告。

 仕事が少なく暇をしている鍛冶師たちに鉄の生産を指示し、食料をコピーするため色々試している実験をストップすると夏鈴たちに話しておいた。


「ジンさんは……もう戻ってこないかもしれませんね」

「それならそれでも構わないけどね。元は疫病対策で用意したんだし、その仕事を放りだしたわけでもないし。

 配置した意味はちゃんとあるよ」

「排除はしないと?」

「ああ。今のところは何もしない」


 ジンは医者たちの師匠として各種知識と技術を他の医者に伝え、美濃の国で医療技術の底上げを行っている。

 他の国にその情報がどれだけ伝播するかは知らないが、ディズ・オーク対策と見ると全く影響が無いとは思えないし、好循環を生むだろう。

 そんなジンを排除する、つまり俺の意志に反したからと言って殺したりはしない。


 カード化されていない人員で、この村の事を知っているのはジン一人ではない。

 フリーマン三人組もそうだし、初めての事じゃない。

 ジンは未だに俺の事をご主人さまと呼んでいたから、カード化解除で縁がスパッと切れたなんてことは、あまり考えていないのだ。


 ……ジンは村よりも岐阜市の方が長いから、そちらを優先する可能性を否定できないのは確かだ。

 ただ、それでもいきなり殺すというのは違うと思う。

 俺は死にたくないし、それを優先して生きているが、だからこそ他人だって殺さずに済むならその方が良いのだ。

 正面から敵対するまでは保留である。





 岐阜市で購入した、ちょうど旬だった長良川産アユの塩焼きを口にしながら、今後の事を考える。


 戦争の行方にはあまり興味が無い。

 細部はともかく、ほぼ間違いなく勝つという話だし、現地入りして観戦などとのんきな事はしない。


 エルフ難民にはこのまま支援を続け、あのキャンプ地――既に小さな村だが――を貰い受けようという約束をしている。

 畑もあるし、放置するのも勿体ないからね。人員を送り込み、隠れ里その2にしてしまおうと思う。

 流石にオークを置く気は無いが、いずれは人間のクランカードでも配置したいものだ。


 タイラントボア対策は、魔法以外でそのまま継続。

 現在は攻城兵器を増産して砦に配備したりと、色々やらせている。

 壁は……防げるとは思えないからな。堀も数mなら余裕で飛び越えられるし。火力の方が優先される。


 他は特に無いな。日常生活だ。

 外は騒がしいが、あまり特別な事をする必要は無いだろう。

 ちょっとぐらい、のんびりするかな。

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