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12-18 穀物と畜産⑥

 夏よりも前に動けばそこそこの成果が出る。

 それはすでに畑として稼働している場所の話であり、これから農業、農園化を行う場所でそんな成果が出ると考えるのは馬鹿だと思う。


 そんなわけで、初年度の食料生産量はゼロを前提に予定を組み、余裕を持った行動スケジュールを作成する。

 ワイズボア1頭が1日に食べる量から必要な食料を試算し、準備をしたわけだが。



「さすがにゼロは極端だったな」

「数年後と想定した量が、もう集まりましたね。さすがは莉菜です」


 今年は様子見と思っていた俺は、余裕を多く取り過ぎた様である。植物が育つ夏の前から始めたとは言え、1ヶ月で想定以上の結果が出た。

 俺の前には、ワイズボアたちが収穫した作物が山の様に積まれている。


 山菜、根菜、果物、キノコ類……。

 賢い彼らは道具を使い、それら作物を綺麗に収穫し、俺の前まで持ってきた。



「報酬は塩で良いか?」

「ブフォッ! ブフッ、ブフゥ」


 報酬は塩で良いらしい。

 ただ、他にも火の使用を手伝って欲しいと頼まれた。生ものを直接食うより、加熱して安全に食事をしたいという事だ。

 生ものは腹を壊すリスクがあるから、安全な食事が出来るならその方が良いらしい。


 人間臭いというか、ケモ度がレベル5の獣キャラというか。

 こいつらは普通の動物と考えないほうがいいみたいだ。


 こいつらはすでにカード化を解除してあるんだけど、それでも言っていることがなんとなく分かるのが恐ろしい。なんか通じるんだよなぁ。





 こっちが上手く行っているのはいいんだけど、大垣の治安は悪化している。

 神戸町にもゴロツキが紛れ込みだし、騒ぎを起こしては捕まっている。

 捕まった連中から金を搾り取ることは出来ないので、無理矢理働かせて金を稼がせ、罰金を払わせる様にしている。


 それでも働こうとしない奴の末路は相応のものだが、それを見せられても働きたくないと叫ぶ連中はどうなんだろう?

 町の食糧事情はまだ悪くないので治安悪化には歯止めがかかっているが、大垣の方はちょっとヤバい。ニノマエを通じてかなりの量の米を供給してみたが、一部では奪い合いになっている様だ。

 転売ヤーが何度も現れ、穀物相場は乱高下と言った有り様なのだ。


 金属の相場は議会の方で制限がかかり価格が安定しているけど、穀物は金属よりも扱う店が多いので、上手く制御できない様子だ。

 残念ながら、議会の力と民間の力が拮抗している。武力行使をすると、被害が無駄に大きくなりかねないとか。


 議会制民主主義は、民間に力があるから民主主義なのだ。社会主義にでもしない限りこの場は上手く収まらないだろう。

 民主主義は、国としての正義よりも民衆の欲望に弱いのだ。国の正義と民衆の意思が一つの方向を向かねば、何も出来ない。



 焼け石に水ではあるが、もう少し穀物を売却するか。ついでに野菜も。


 この手の問題は流通している資金・食料のバランスの話で、需要と供給の話じゃないのが辛い。

 流通している食料を、商人の手元にある資金でどれだけ買い上げられるかの話なんだよね。


 流通している食料の量を増やして一部の商人が買い占めが出来ない状況を作るしか、事前の解決策はない。

 転売ヤー対策は物価上昇が発生してからの逮捕が流れになるので、警察では後手後手に回るしかなく、本当に厄介だ。


 いっその事国家治安維持法とか言って、議会に強権を持たせても良さそうな気がするけど、それだと議会が暴走しかねないからと反対を受ける。

 なんと言うか、度し難い。

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