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12-15 穀物と畜産③

 被害に遭ったという豚は、それはもう酷い状態だった。

 皮を剥ぐ前にいくつもの塊に分断され、しかも断面が汚いものだから見た目がグチャグチャで、確かにこれは食べたくなくなる見た目だった。

 運びやすくするためにバラバラにしたんだろうけど、こんないい加減な事をして、後で本当に食べたんだろうか?

 なんか、嫌がらせ目的で豚をバラしたと言われた方がしっくりくるよ。


 俺はニノマエから借りたという建前で用意した麻袋に豚を放り込み、同じく借りた事になっている荷台にそれを乗せて神戸町を後にした。





 神戸町からある程度離れた場所、町と村との間で休憩する為に、俺がこっそり作った秘密基地がある。

 見た目は完全に男の子のロマン的なもので、木の枠組みに葉っぱなんかで作ったテントのようなものだ。子供でも作れそうなチャチな所がポイントである。


 俺はそこに豚を運び込み、人に見られないようにカード化した。ちゃんと1頭分あったので、無事に☆2個のモンスターカードになった。

 荷台とかもまとめてカードにして身軽になると、俺は豚をどのように強化していくか、方向性を考える。


「まずは枚数を増やして、と」


 パッと思いついただけでやってみたい事はいくつもあった。

 肉を美味しく柔らかく、というのと、多産だったり、少ない餌で良く育ったり、早く育ったり、あとは病気に強いとか猪と合成できないかとか、本当にいろいろだ。

 方向性を定めずに育てた結果がどうなるのかにも興味があるし、何かあった時の気分転換にはちょうどいいだろう。



 ふと思ったのだが、豚はオーク系モンスターと合成できたりしないだろうか?


 オークは元々豚人間とか言われるようなモンスターだ。

 実際、豚っぽい特徴を持っているからオーク呼ばわりされているわけだ。


 そこで、ゴブリンとデミゴブリンのような合成で、何か新たな扉が開かないだろうか?

 猪では出来なかったネタだが、面白そうではある。



 幸い、ディズ・オークのカードはストックが多い。早速試して――


「創様。このような場所でいつまでも遊んでおらず、早く村に戻りましょう」


――みようとしたが、夏鈴に肩を掴まれ、それを止められた。


「あー、すまん。そうだな。先に家に帰って、そこで試すことにするよ」

「ええ、そうしてください。

 まったく。何故でしょうね? ここに来ると創様は暴走気味になりやすい。この場に何があるというのでしょう」


 悪いね。

 それは男のロマンとか、そういった感覚なんだよ。

 秘密基地でコソコソと何かするのは、男の子ならではの感覚で、ゴブニュートとは言え女の子の夏鈴にそれは分からない事なんだ。

 ……もう俺は子供といえる年齢じゃなさそうだけど。



 俺は帰る途中で、夏鈴にいくつかのアイディアを披露し、村で何かしてみたいと提案してみる。


「豚を増やし、ですか。猪を家畜化していますし、豚を飼う利点は少なくありませんか? これが牛であれば喜んだのですけれど。

 ですが、オーク種と合成するのは面白そうですね。それが出来ればですけれど、結果が想像できません」


 夏鈴もオークと豚を合成するという部分には興味を示していた。

 現状でオーク種を村の住人にするのはリスクが大きく、手を出せない。

 もしかしたら、その制限を取っ払う一手になるかもしれない。





『ディズ・オーク』 + 『豚』 → 『ワイズボア』



『ワイズボア』:モンスター:☆☆☆:小:12時間

 ワイズボアを1体召喚する。ワイズボアは人と変わらぬ知性を持つ猪だ。通常の猪よりも体が大きい。



 ☆の数が3つのオークがベースと思いきや、豚ベースというオチが付いたけどね。

 しかもボア()になったし。豚はピッグじゃないのか?


 色々と言いたい事はあるが、食べるための家畜にするには酷だよなぁ。

 うん、酷いね。

 なぜこうなった?

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