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12-11 転売ヤー③

 米の値上がりで、警察がすでに動いている。

 じゃあ大垣市はこれで安心かな。


 などと言う、美味い話は無かった。



「とはいえ、今回問題に泣ているのは米の値段だけなんですよね。その他の物品は値上がりがまだ緩やかなので、対処し様が無い状態です。

 警察は事件が発生するまで動けない。誠に遺憾です」

「え? その他?」

「ああ。いえ、そうですね。先月比で2割から5割程度の上昇傾向だけなら他にも色々とありますね。

 食品類だけでも穀類・イモ類で5品目、嗜好品の酒、衣類と靴、家に使う木材の値段もかなり上がっています。

 ただ、一番の問題は鉄です。こちらは米よりも深刻ですよ」


 恐ろしい話に、俺の思考が停止しかけた。

 食い物関係、特に主食の米の値上がりは想像できたけど、その他の物品までは考えが及ばなかった。

 

 ただ、指摘されてみると納得のできる話だ。

 食い物関係の高騰は酒も含めて分かりやすい。一気にモノを動かせば、それに伴い値が上がる。“先月比で”2~5割と言うが、食料品の値段は難民が来た直後から徐々に上がっているので、去年と比較すれば倍ぐらいかもしれない。

 衣類は横に置き、建材は戦後の復興に使うから抑えられたのだろう。越前も木材は豊富に確保できそうな土地であったが、切り倒してもすぐに使えるわけでもないから、今から抑えるのでもやや遅めだろう。


 鉄? 鉄も穀物同様、値上がりは予測できたけどそっちは関わる気が無いからな。俺が作って供給する、なんてしないよ。

 普通の流民が持ち込むものじゃないから仕方がないんだ。



「たしかに、今は秋の遠征の話題を流布している所です。そうやって明確にゴールを設定することで市民感情を抑え込んでいるのですから。

 ですが、それに伴い転売ヤーがボウフラの如く湧いてきたのは悲しい事ですね。

 部下たちも、市中を走り回る連日の残業に限界が近い。多少の収入増では気分も上がりません」


 転売目的の物品購入。

 需要が増える分野は値が上がっていくものではあるけど、それにしたって限度がある。


 規制する法律があり、それを理由に検挙し、財産を没収して、もう一度市中に物を流したとしても、別の転売ヤーがそれを購入して溜め込もうとする。

 タチが悪い事に、小口の小遣い稼ぎ気分でそれを行う者もいて、今月徴収した罰金額は例年より桁が一つ多いという。



 残念ながら、ネットも何もない世界では情報伝達が遅い。

 転売を目論んでいる連中が何十人も捕まっているという情報が上手く出回らないため、「きっと儲かるから」と転売ヤーになる馬鹿が後を絶たない。


 これ、誰かが広報を担当しないと、いつまで経っても終わらないんじゃないかな?



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