12-6 情報整理
神戸町は安心。
大垣市はわりとヤバめ。
他は行かないので、隣の岐阜市とかは気にしない。どうせ大垣市とあんまり変わらないだろうが、俺が気にする相手でもない。
俺が考えるべきは、今後の、戦争のことだろう。
去年の夏頃、俺は越前の国で大暴れしてきた。
越前の国に巣食っていたディズ・オークに病気を流行らせ、自軍のオーク達とタイラントボアにより打撃を与えた。
これにより、敵戦力は半壊したと思う。
で、1年と少し後の、今年の秋。
敵はあれからどれだけ戦力が回復したのか?
普通に考えたら、回復はせずにかなりの被害が出ていると思う。
ゲームなどであれば短期間で人が増えたりすることもあるが、現実はそうもいかない。
ディズ・オークの生態に詳しいわけではないが、子供を作って、産まれ、戦えるほど育つまでに1年は短すぎるだろう。
逆に病気が更に蔓延して傷口を広げているんじゃないかと思う。
いずれも実際の状況を見ていない人間の推測でしかないが、そこまで大きく間違っていないだろう。
そうなると、署長が言っていた「3万」という軍隊の規模に関しては、占拠し直した土地の維持に使うからではないかと予測される。
敵を追い出し土地を得てはい終わり、とはいかない。町の復興もしないといけないけど、それ以上に敵が再び攻めてきた時を想定し、ある程度戦力を残さないといけない。
美濃の国からであれば、越前の国の入り口に当たる大野市にある程度の兵士を置いて、そこを物資の集積所として使用しつつ、福井市など、その先に進むことだろう。
敵がいるのは、主に「越前町」「越前市」「鯖江市」「大野市」「勝山市」の5ヶ所である。
福井市については加賀の国が頑張って駆逐しているので、あまり敵はいなかった。緩衝地帯扱いなのか、加賀の国は兵士を置いていなかったが。
他に大きな都市は無く、各国、近い所から順に兵士を進め、最終的に一番奥地にある越前町を攻略するわけだ。
この先、戦争に関して俺の助力はもう必要ないだろう。
俺が関わるべき事案としては薬の販売ぐらいであり、あとはエルフへの援助ぐらいでいい。
積極的に関わったなら戦後まで無駄に頼られるのは目に見えているし、そこまで手を貸さないのであればこれ以上は蛇足だ。
国が困難に立ち向かい、成果を出し、それを誇りにして人を支えるべきだ。
それが不可能で無いなら、特殊な力を持つ個人に頼る必要もないんだよ。
俺は俺で、個人レベルの問題に向き合おう。
復興の時は、それはそれで大変だろうけど、俺が関わる話でも無い。
エルフの皆へ酒と一緒に、大垣市で聞いたことを土産話でもすれば良いだろう。
この件は特に口止めされていないので、話しても大丈夫のはず。