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11-21 リザルト

 スタングレネードは不発に終わったが、今回の件ではいくつもの収穫、そして変化があった。



 一番は、『火薬草』だろう。


 まったく考えてもいなかった方法により、火薬が量産可能になったのだ。

 火薬は利用価値が高いので、ストックはどれだけあっても構わない。さすがに打ち上げ花火のような目立つ物を作る気は無いけど、線香花火やロケット花火とか、そういった文化方面に回したって良いのだ。


 現在は火薬草の畑を作り、安定供給を目指している。

 火薬草を育てるのに肥料がたくさん必要になるが、そこは頑張らせてもらうとも。



 そして『爆発』という発想が、みんなの中に生まれた。


 これまでは普通に剣や魔法で戦う事が当たり前だったが、爆弾を兵器として運用することで、次回のディズ・オーク戦を乗り切ろうという話が出ている。

 確かに、剣や魔法で戦うよりも爆弾を投げた方が簡単に思われるのは仕方が無いが、敵から火の魔法を食らったらどうなるのかは考えているのかね?

 残念ながら、そういった部分は、まだ想像力が足りていないように思う。


 中には爆発を利用した兵器として、大砲を作ろうとしている者もいた。

 榴弾(グレネード)が最初なので初期型の火薬兵器をすっ飛ばしたし、火薬の兵器利用として大砲を思いつくのは不思議ではない。

 爆発からの連想として、それは正しく技術の系譜を辿っている。火薬ができれば次は大砲。そして小型化・個人携行の銃火器へと変わっていくのだ。


 戦闘の近代化が進む事になるのだが……まぁ、自分たちが有利になる部分の話だし。研究は好きにやらせよう。

 ファンタジーの象徴である魔法が終焉を迎えるわけでもないからね。


 あ、ライフリングと椎の実(ドングリ)弾については説明しておこう。

 ライフリングがドングリ型の弾をまっすぐ飛ばすのに有効って事ぐらいは知っているよ。



 魔法の方は、『レーザー』、『バーストレーザー』までが再現されるようになった。


 『レーザー』でも直接目を狙えば相応の威力があるし、相手が瞼を閉じたところで防げるものでもない。

 ゴブリンであれば手で目を隠すなどして防御することも可能だが、猪では身をよじり、レーザー光線の射線を通さない事でしか目を守れない。

 『バーストレーザー』については言うまでもない。一瞬で相手の眼球が目玉焼き(白身のみ)になる。


 光で相手の目を殺す。

 無策の者が相手なら、戦闘においては必勝法に等しい攻撃手段を手に入れたわけだ。


 こちらにはサングラスという防ぐ手段があるわけだが、サングラスでは目の部分しか守れない。結局は無防備と変わらない。

 だから、絶対に真似されないようにしないといけない。

 この魔法はこちらが習熟しきるまで、相手を皆殺しにできるとき以外は使わないでおきたい。





 で、最後に。

 召喚しっぱなしになった、『エイジャ・カーバンクル』の話。


「んー。少しは成長した?」

「ぐっ!」


 最初はレーザービームを撃つしかできなかったエイジャ・カーバンクル。

 しかしテキストには「光を操る」とあり、今はちょっとした光のコントロールが出来るようになっていた。

 周囲を少し明るくする、暗くするといった使い方を覚えている。

 あと、額の宝石に光をため込み、夜の暗い時に放出するという技も覚えた。


「バリアの方は成長しないのになー」


 バリアの半径は、相変わらず半径1mのまま。運用には注意が必要というか、非常に使いにくく、俺を守るためには使えない。できれば半径2mは欲しい。

 すぐにそうなってほしいという訳ではないので、強化で広くする気は無いんだけどね。地道に努力で成長してください。



 バリアの強度的には美味しいんだけどね、エイジャ・カーバンクルを量産だとか、そういう事は考えていない。

 光の操作で、敵が『レーザー』を使ってきた時の保険とか、そんな期待はしていない。


 ただ、何となくでゆっくり育つのを待っている。

 本(ウサ)も頑張っているので、そこまで追い込む必要も無い。

 餌の草を食っている時間が長いとか、文句を言う気にもならない。

 育てれば有益と分かっていても優先順位も低いからね。これでいいんだ。



「ぐ~」

「火薬草は食べるなよー。死ぬから」

「ぐっ!?」


 白くなった毛皮に草むらでゴミを付けながら、エイジャ・カーバンクルは畑の方に向かう。畑の雑草を食うために。

 そんな元兎に、俺は声をかける。何か慌てていたが、変な事さえしなければ大丈夫だろう。


 そろそろ、大垣の方に顔でも出すかな?

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