11-19 スタングレネード⑩/音響爆弾の威力試験
大きな音で三半規管を揺さぶって敵を昏倒させる、意識を奪う音響爆弾。
雛型はあるので、カード進化を使ったけど、低コストで作ることができた。
現物があれば、皆への説明が楽になるだろう。
『音響爆弾』:アイテム:☆☆☆:小:6時間
爆発音により半径10mにいる防護装備を付けていない人間を、一時的な難聴・耳鳴りにより混乱させる。
で、そこからスタングレネードも作ったよ。
『スタングレネード』:アイテム:☆☆☆:小:6時間
強烈な光と爆発音により半径10mにいる防護装備を付けていない人間を、一時的な失明・難聴・耳鳴りにより混乱させる。
どちらもランクは低め。
後は実際の効果次第だろうけど、何の対策も無しに実験するとただの自爆になるので、専用のヘルメットも作った。
『防御ヘルメット』:アイテム:☆☆:微小:6時間
閃光に効果のあるフェイスガード付きヘルメット。耳を覆い隠すため、爆音から鼓膜を守る事もできる。ライナーにより、衝撃にも強い。
形状は耳当て付きの黒いヘルメット。機能は色々頑張った。
材料はプラスチックが無いので、薄い木に樹脂を塗った物を使っている。
重くならないようにするのと、光と音を防ぐ機能を優先してみた。
ヘルメットにしたのは、何となくというか、兜がイメージできなかったから。
ヘルメットなら被った後にあご紐で固定すればいいけど、ファンタジーの兜ってどうやって固定しているんだろうね? 見た事が無いので分からないよ。
安全性は衝撃に強いというだけで、そこまで凄くない。
防御力で言えば、魔剣部隊の剣ならあっさり切り裂ける紙のようなもので、ダメージ減少効果は全く期待していない。素材が弱いのでしょうがない。
強いて言うなら、落下物が当たっても大怪我をしなくなるだろうというだけだ。頑張ったんだけどね。
そんなメットを被って移動すると、当然のように苦情というか、改善要望が出てきた。
「創様。これを被ったまま長時間行動すると、中が蒸れて酷い事になりそうです。目的を考えると強度は度外視で構わないでしょう。スリットを設け、通気性を高めようと思います」
「このフェイスガード。スタングレネードを投げるときだけにしたいものですね。着脱か何か、普段は無しにできないものですか? いや、メットを付けたり外したりするよりも、もっと簡単に切り替えられると嬉しいんですが」
こういった要望をメモに残し、次に活かす。
次がいつになるかは分からないけど、忘れないようにしないとね。
そして野良ゴブリンを探し出した俺たちは、さっそく音響爆弾の方を使ってみることにした。
スタングレネードだと、音の効果が分かりにくくなるからね。
ノイズは少ない方がいい。
そうして数度。音響爆弾の威力を試した。
ゴブリン程度では音響爆弾に耐えられず倒す事に成功したので、夏鈴たちに音響爆弾の意義を見せることができた。
実験は成功と言える。
しかし。
「うぅ、まだ頭がガンガンします」
「創様。ヘルメットの強化、お願いします」
威力の方は、思ったよりも強かった様子。
実戦投入はもう少し先の話になりそうだ。