11-15 スタングレネード⑥
なんか、思いっきり気合が抜けていったけど、結果オーライ。
威力は無さそうなので、光と音を強化し、進化させてみる。
『スタン・ボム』 → 『ショック・ボム』
……まぁ、いいか。
『ショック・ボム』:スペル:☆☆☆:やや小:1日
『光よ、音よ、爆ぜて飛び出せ』
まばゆい光と大きな音を生み出す。人間が直視した場合は失明の危険があり、近くで聞けば鼓膜が破れる。
とりあえず、期待通りの魔法ができた。
2ヶ月の待機時間は何だったんだろうと思うけど、研究とか開発なんてそんなものだと割り切っておく。
期待通りの結果が出ない事は当たり前と、そんな話を聞いた気がするし。
試行錯誤が大事なんだよ、きっと。
そしてたまに全く関係ない所で大発見するのも楽しいからね。
『バーストストリーム』、あれはあれでいい物だと思う。お守りとしては破格の性能だ。
思いがけない出会いと言うか、ただレールの上にあるものだけを回収するような状態よりはずっと良いよね。
予想以上に「安く」作れるスタングレネードな魔法ができた。
次に考えるのは、魔法ではなくアイテムに落とし込む事。
アイテムに落とし込む事で、俺や魔法使い以外も使えるようにするのが最終的な目標だ。
「まずはカードの状態でアイテムを作って、それを再現できるか確認する」
「それはまた、錬金術士が必要そうな案件ですね」
「やっぱり?」
「はい」
アイテムかについては、夏鈴がちょっと嫌味を言ってきた。
魔術部隊にそっち系の仕事を割り振っている中、更に仕事を増やすのはどうかと思っての発言だ。
俺も晶石系アイテムを優先したいので、出来るだけ科学的な知識に基づいたスタングレネードを考える事にする。
グレネードは、投げて使う爆弾の事だ。
で、ピンを抜いて数秒後に光と音をまき散らし爆発するアイテムを作ろうとすると、何が必要だろうか?
たしか、光の方は金属を燃焼させればいいと聞いた覚えがある。
音の方は……爆発すれば、大きな音が出るよね?
他に関係しそうな記憶を探ってみるが、俺の中には、たぶん無い。
爆弾に釘を混ぜて威力アップとか、そんなネタしか出て来ない。
音の事は後で考えるとして、まずは燃焼で光る金属を探そう。
「プラチナ・金・銀・銅・鉄、このあたりは確認するまでも無く違うのは分かる。炭素と錫も違うよな。ウランは試したら馬鹿だろ。
他の元素記号で金属。思い出せるのは、ニッケル、コバルト、マグネシウム、カルシウム、バナジウム…………」
記憶にある金属を思い出しながらメモを取る。
元素でなかったり金属じゃない物も混じっているが、そこは御愛嬌。固形物ならそれでいいじゃないか。その程度の気持ちでリストを作る。
「まぁ、総当たりする前に、途中で当たりが出る事を祈ろう」
リストにある金属を全部作るのは大変だ。
できれば、途中で強く光る金属が見つかるといいね。