表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
280/729

11-13 バーストストリーム

『バーストストリーム』:スペル:☆☆☆☆☆☆:中:10日

『天に瞬く輝きよ、地に舞い降りて顕現せよ。汝は滅びをもたらす者、全てを飲み込む者。その鮮烈なる光を以て、我が敵を討ち滅ぼせ』

 強大な魔力の奔流で前方の敵を飲み込み、打ち砕く。



 当初の予定では、大きな音と光で敵を気絶させる様な魔法を作るつもりであった。

 それが、なぜこうなった?



 理由はいくつか考え付く。

 『レーザー』の元になったのは『ファイアジャベリン』で、攻撃魔法である。

 その特性が復活し、こうなったのではないか?


 強力な閃光と大爆発の組み合わせだし、ある意味順当と言える合成結果じゃないかな。



 この魔法、消費は小さく、リキャストタイムもそこまで長くない。

 使い勝手はかなり良いと思う。


 そうなると、後は威力がどの程度かという話だ。

 俺は村から少し離れた山裾で、魔術師の凛音らを伴い、実験を行う事にした。





 山に行けば、傾斜のあまりない場所もそこそこにある。

 傾斜が小さいという事は、山が崩れにくいという事でもある。

 これから行う実験では山崩れが予想されるので、できるだけ安全性の確保された場所で行うのは勿論、逃亡用に大狼たちに待機してもらっている。



「では、これから山裾に『バーストストリーム』を撃つ。斜めに打ち込むとは言え、ここも安全とは言い切れない。

 逃げる時は、よろしく頼むよ」


 俺は見学に来たメンバーに手順を説明する。

 説明を聞く見学者は作戦担当(夏鈴)と、うちの魔法使い一同(凛音達)である。


 他に終らも見たい、付いて行きたいと言っていたが、安全性の関係で近くにはいない。

 他の連中は結構離れた場所でこちらの様子を窺っている。


 俺たち自身は、サングラスで目を保護して目標の山裾から200mほど離れた所に立っている。

 ここから撃てば、威力や射程やらなんやらがよく分かると思うのだ。

 柔らかい土に向かって撃つと、普通なら威力が吸収されてあまり効果が無いからね。硬い岩に撃つよりも分かりやすいだろう。たぶん。



「『天に瞬く輝きよ、地に舞い降りて顕現せよ。汝は滅びをもたらす者、全てを飲み込む者。その鮮烈なる光を以て、我が敵を討ち滅ぼせ』バーストストリーム!」


 俺が呪文を詠唱すると、前方に巨大な魔法陣が現れる。大きさは俺の背よりもデカい。4mか5mぐらいだ。

 それもよく分からない文字で縁取りされた五重の円に三角形、その他で構成されたとびっきり(・・・・・)だ。

 使った俺の頬に冷や汗が流れる。


 あ、これヤバい。

 そう思ったが、使った以上はそのままだ。

 サングラスを信じ、目を瞑る事なく結果を見届けようとする。



 そして、光が弾けた。

 濁流、奔流とでも言うべき光の川が生み出され、俺の視界を白一色で覆い尽くす。

 発動地点の俺には全貌が見えず、何が起っているか分からない。

 サングラスをしているので大丈夫だが、裸眼だと確実に目を痛める眩しい光景は、10秒ほど続くとようやく収まった。


「は、はっはっは。もう笑うしかないね。

 さすが、☆6スペル」


 確かに作るのは大変だった。

 コピーなど、1年先でも無理だろう。

 強化だってすぐには目処が立たない。


 ただ、これは酷い。

 タイラントボア相手でも、これなら効果があるよ、きっと。



 俺の目には、大きな穴が空き1km先の反対方向まで貫通した山と、穴の周辺で燃える木々が映っていた。


 たぶん、あの穴の先でも山火事だな。

 消火活動、頑張らないと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 山貫いちゃうかぁ、そっかぁ……(遠い目
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ