11-12 スタングレネード……?
カーバンクルの様なモンスターがポコポコ増え過ぎても困るので、11匹になった所で最初の1匹をリーダーに進化させて、パーティ系カードとしてスタックする。
今後何かするとしても、エイジャの方と合わせて12匹もいれば充分だろう。
今回の実験に使ったコストは、5日分。
本命の合成までにまだ時間はある。もう少しお遊びは続けたい。
こういう事をしていると、外部からは遊ぶのは油断だと言われそうである。
遊ばず全リソースを突っ込んだ方が良いという考え方はあるし、その方が効率が良く物事が進むというのは間違いないが、こちとら機械じゃない、人間だ。人間には遊びが必要で、仕事だけに全力を費やせるほど、俺の心は強くないんだよ。
「少しぐらいならリソースを捻出して、他の事にも目を向けるのはそこまで悪い事でもない」と、誰に言うわけでもない言い訳をしておく。
そんなわけで、『香辛料』から『カレースパイス』を作ったり、4つ並べても消えないけど『スライム』を作ったりと、しばらく遊びの時間を設けた。
カレースパイスはそこまで難しくなかったけど、これだけを使った所でカレーに至らないのはお約束。
文献によればカレーにはターメリックやクミン、カルダモンなど他にもスパイスが必要だが、どんな物か分からなければ俺も進化のさせようが無い。
ターメリックはウコンの事なのでこれは薬の材料として入手可能なんだけど……他に手に入るのは、唐辛子ぐらいだった。
日本人が想像するカレーと言えば、小麦粉でとろみを付けて豚の脂などで固めたカレールゥのカレーだと思う。
足りない材料を意識から外し無理矢理作ってみたけど、香りと色合いだけのカレーができあがった。
ガワだけ似せた事で味のギャップが一層引き立ち、食べて美味しくなかったのでもの凄く悲しかったよ。
ただ、カレーもどきに調理した事で、そこから進化させてカレーを無理矢理作る事には成功した。
カード能力からしか作れない、売り物にはできない代物だと言うだけで、カードで作ったカレーを個人消費をする分には問題無い。
カレーにはかなり手間をかけたので、合成をするまでの、残りの時間はあっという間に過ぎていた。
『香辛料』 → 『カレースパイス』
『カレールゥもどき』 → 『カレールゥ』
そうして迎えた冬のある日。
『スチーム・エクスプロージョン』の合成に必要な経験値が溜まった。
割とではなく、かなり緊張する。
望んだ魔法ができるかどうかは、常に賭でしかない。
できる魔法はきっと凄い魔法だろうが、それが『スタングレネード』かどうかは分からないのである。
「よし」
気合いを入れ、覚悟を決め。
万札課金してガチャを回す程度ではなく、即金で新車を買うぐらいの気持ちで合成を行うと。
『スチーム・エクスプロージョン』 + 『バーストレーザー』 → 『バーストストリーム』
全く『スタングレネード』では無さそうな魔法が完成した。
効果を確認するのはこれからなのだが、その名前を見た俺は思わず崩れ落ちた。