11-11 息抜き・『エイジャ・カーバンクル』
さて。
『スチーム・エクスプロージョン』と『バーストレーザー』を開発して、あとはこの2つを合成するだけになったわけだが。『スチーム・エクスプロージョン』は☆5の高ランクスペルだ。ぶっちゃけ、合成できる様になるまで時間がかかる。
「創様。同時に運用と言いますか、合成する必要はあるのでしょうか。
それぞれを単独で運用しても宜しいのでは無いでしょうか?」
夏鈴がこう言っているが、強力な魔法を一動作で撃てるメリットは大きい。
カード枠の問題もあるし、一番大事なのは相手の防御を貫いて効果を与える事だから、中途半端な魔法で終わらせるつもりが無いのだ。
最大最強の魔法というのは、戦局においてかなり重要な位置を占める。
記憶にある世界の核兵器では無いが、どんな状況にも対応できるよう、多彩な対抗手段を持っておかないと安心できない。
強大な相手でもダメージを与える、気絶させる事ができれば、勝ち筋は生まれる。
有効打が何も無いのと一つでもあるのとでは安心感が違うのだ。
なので、この2つの魔法の合成は必ず行うというのが俺の考えである。
ただ、『スチーム・エクスプロージョン』が合成できる様になるまで、そこそこ時間がある。
その前に、一つお遊びを試してみることにした。
「グゥ?」
「大丈夫だ。何も怖くないぞ」
カーバンクルを1匹、用意する。
この子は繁殖実験で殖やした子供で、最初に作ったカーバンクルが産んでいる。
カーバンクルを作っておおよそ3ヶ月。番のカーバンクルが妊娠・出産をするには充分な時間があったのだ。
カーバンクルの繁殖についてだが、一般的な兎はカーバンクルに手を出さない、出せない事が判明した。
これは雄雌関係なく、どっちもただの兎を別の生き物と認識し、発情しない。元になった天眼兎でもアウトである。
仕方がないので、今では普通にカーバンクル同士で交配させ、数を増やしている所だ。
で、これからやるのはお約束ネタというか、ただの思い付きである。
「≪合成≫『カーバンクル』『バーストレーザー』」
産まれたカーバンクルはカードモンスターでは無く、野生状態である。
と言うか、親の方も通常の繁殖をさせるためにカード化を解除してある。カードモンスターは普通の繁殖をしないのだ。
で、このためにカード化された子カーバンクルに、『バーストレーザー』を合成してみた。
通常の『レーザー』は合成できなかったが、こっちはできたのだ。
ならば、試すしか無い。
『カーバンクル』 + 『バーストレーザー』 → 『エイジャ・カーバンクル』
『エイジャ・カーバンクル』:モンスター:☆☆☆☆:中:1日
エイジャ・カーバンクル1体を召喚する。エイジャ・カーバンクルは額に宝石を持つ魔獣である。額の宝石が輝く時、光はこの魔獣に従う。
その結果がこれだ。
『エイジャ・カーバンクル』という、レーザーの撃てるカーバンクルになった。
額の石がダイヤモンドっぽくなり、複雑なカットをされた状態になっている。毛の色が茶色から白になった。身体の大きさは変わらず、姿形に他の変更は無い。
あと、鳴き声も変わってないね。
スペック上の不思議としては、リキャストタイムが大幅に減少した。元のカーバンクルの10日から1日である。理由は不明。
あと、フレーバーテキスト表記の「額の石」が「額の宝石」に変わり、盾を生み出すから光が従うことになった。表記されなくなって焦ったが、盾を生み出す能力は失われていないのでホッとしたよ。
光が従うとあるけど、今はレーザーを撃てるだけ。
しかも、光を生み出しているわけでは無いので、明るい所でしか使えない。
ちなみに、『エイジャ』の意味は不明である。
神様か何かの名前かな?