11-10 スタングレネード④
『バーストレーザー+3』:スペル:☆☆☆:小:6時間
『決壊せよ、爆発せよ、張り裂けよ。集う光は器を食らい、全てを塗り替え、飲み込み、染め上げろ』
強力な光を生み出す。指向性を与えられており、術者に影響を及ぼす事は無い。
最初は遠距離発動を目標に考えていたけど、いろいろと試した結果、『レーザー』をベースにして、前方広範囲を攻撃できる光魔法の開発に成功した。
収束した光という意味のレーザーがバーストしたらダメだろうと、魔法の名前に突っ込みを入れたかったが、使ってみれば名前が正しいと理解できる。
光は反射するもので、物の色が分かるのはその反射した光を見ているからだ。
超強力な光を当てた場合、反射する光も増えるわけで、そりゃあバーストって事になる。当てられなくてもサングラスは必須だ。
この魔法は魔力の追加消費で三秒ぐらい維持できるけど、同じ場所に当たる様、三秒も維持すると、枯れていない草が発火する。
サングラスを作っているが、この光を直視したくないというのは、この魔法を知る全員に共通する見解だ。
……失明で済めばいいんだけどな。
一応、動物実験と言うわけで、野生の猪やゴブリン相手に使ってみた。
この魔法はレーザー、つまり光速で対象を攻撃できるので、目で追える速度の相手なら100%当てる事ができる。命中性能は非常に良い。
で、肝心の威力は……失明まで一秒も必要なかった。一瞬でも当たれば対象の眼球が白濁し、泡を吹いて痙攣する。
☆はたったの3つなのに、これまた極悪な魔法が完成したのであった。
ちなみに、『+3』の部分は消費減少・リキャストタイム短縮・威力強化の3回分である。
☆3という謎の低ランク評価をされた魔法だが、ベースになる『リトルファイア』からの5回進化に加えて『マナボルト』も必要と、初回製作コストはかなり高い。
もう一度最初から作る手間は無駄が大きすぎるので、ここから先は『バーストレーザー』をコピーしていく事になる。
☆3の中ではレベル上げに必要な魔力のコストが重めだが、これが何回使えるかは今後の俺の生死を分ける切り札になるかもしれないので、まずは5枚ほど確保しておく。
あとはスペル作成に使うのと晶石にしてみるのとで、合成用に2枚追加。
カードとしての『バーストレーザー』はこれでいいだろう。
「と言うわけで、凛音も使える様になって欲しい」
「はい」
スペルカードで作った魔法は、凛音なら再現可能な魔法でもある。
俺は補助アイテムとして作った『烈光晶石』、バーストレーザーを合成して作った石を凛音に渡して、習得を指示しておいた。
開発段階で凛音もこの魔法について学んでいるので、細かい説明は不要だ。
補助アイテムもあるし、そこまで苦労はしないだろう。
見本が必要なら、俺がまた何度でも見せるよ。
だから、『スタングレネード』の開発が終わるまでに、頑張って使える様になって欲しい。
『スチーム・エクスプロージョン』?
あっちは自爆魔法だし、教える必要は無いよね。