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11-5 『吸魔晶石』の行方⑤

 形状によって性質を変える。

 それはどんな事かと思ったら、単純に、磁石のような話だった。


 磁石はその形状で強さというか、磁力の効果範囲が変わる。

 四角い棒だったり、U字だったり。用途に合わせて最適な形を与えられる。


 虚空銀の場合だと、円錐にすると主に先端部分から魔力吸収を行う。後は底面のエッジ部分だ。他の場所からは魔力を吸収しない。

 また、先端部分に対し特に集中しているからか、普通よりも魔力の吸収範囲が広くなっている。


 なんとなく、円錐の底面を滑らかにしてみた。

 バリを取るようにしてみると、先端部分の魔力吸収能力が強化され、底面からは魔力を吸収しなくなった。


 どうやら滑らかな面だけか、ごつごつした状態だと全体から魔力吸収を行うが、全体的になだらかで、一か所二か所、尖った部分があればそこに魔力吸収能力を集中させるようだ。

 魔力吸収能力の総合的な出力は虚空銀の総量に依存し、形状を調整し一部に集中させることで密度を変化させることができるようだ。



 まずは槍の穂先として使えばいいかな。

 通常の槍(スピア)ではなく、騎乗槍(ランス)のように突く事だけを考えた武器だ。

 タイラントボアの防御力は魔力依存なので、これを使えばタイラントボアの防御を貫くことができるかもしれない。


 ついでに剣にもしてみたが、エッジ部分が広いためにやや出力が弱めで、これではあまり役にたたないと推測できた。

 片刃である刀にすればまだマシで、先端部分、切っ先が強く、後は刃の部分がやや強めとなる。

 こちらはボアの防御を切り裂けるかやや不安だ。



 とりあえず武器を2つ作ってみたが、あとは必要に応じてどうにかしようと思う。

 というか、しばらく武器にする前の虚空銀そのものを強化しておきたい。


 形状による性質の変化を見たくて試しに作らせてみたが、虚空銀が武器になる前に強化しておいた方が、後のことを考えると効率が良いと思う。

 どうせなら強い金属で武器を作らせたいのだ。


 試作した武器に関しては、すぐに入用になった時の保険としておこう。

 この武器があれば、あの黒い蛇も簡単に殺せるんじゃないかな。そんな気がするのだ。



「ご主人。あの時の召喚術士は確保したんだろう? 試し切りなら付き合うぞ」


 武器を作ったからには試し切りを。

 俺たちがそんな事を言い出したわけではないが、できた武器を目ざとく見つけた終が、試し切りをしたいと言い出した。

 本人は「言われたならやる」と言うが、顔を見れば「試してみたい!」と書いてある。ワクワクとした感情を抑えていない。


 こうして終による『虚空銀の刀』の試し切りが行われることになった。



 俺はワクチン・オークにした召喚術士を呼び出すと、終に向かって『黒蛇の召喚』を行わせた。


 この黒い蛇は対象を飲み込み、腹筋で圧縮して砕き、消化液で殺すという魔法だ。

 人間数人程度は楽勝で飲み込めるほど体が大きくなるのは魔法的な力が働いているからだが。


「疾!」


 終の振るう刀によりそれを封じられ、あっさり切り殺された。

 虚空銀の武器がちゃんと役に立つという証明は成されたが。


「折れたか……」

「銀で作ったのは失敗だったか」


 元が銀のため、刀は一振りで逝ってしまった。



 ルーンスミスは日本刀を何度も打ったことがあるので、刀の性能が悪いとは言わない。

 ただ、金属が弱かっただけである。


 こうなると、銀ではなく鉄とかで試せばよかった気もするが、後の祭り。

 吸魔晶石を補充し、追加で、鉄で作り直した方が良いのかな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも執筆ありがとうございます [気になる点] なだらかという表現の使い方に違和感がありました。滑らかとほぼ同義でもありますが、どちらかと言えば山の斜面の傾斜が緩やかな様を表す言葉という印…
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