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10-25 休日が終わって

 4日目後半、最終日に関しての思い出は封印しておく。

 人間の精神には許容量が設定されており、そこを超えてしまえば考える力が失われる。許容量は個人差があるが、俺の“それ”はずいぶん少ないのかもしれない。

 3人同時が普通じゃないのだからしょうがない。


「いえ。不意を打たせて頂きました」

「楽しかったよー」


 その原因である彼女らは、やる事をやってもあまり変わらない。

 やる事、というよりはヤる事だったが。


 唯一、凛音だけは無言だ。

 初々しいというか、なんと言うか。顔を真っ赤にしてこちらを見ない。

 彼女がこういう反応をするから、俺もギリギリの所で平静さを保っていられる。



「で。なんであんな事をしたんだ?」


 やってしまった事に関してはもう過ぎた事として受けいれざるを得ない。

 ただ、原因の追及と今後の話はしっかりしておくべきだ。

 俺は三人娘にキツめの視線を向ける。


「戦場に出た殿方を鎮めるのは、女の柔肌だと教わりました」

「いつの時代だよ、それ。

 と言うか、これは誇れる事でもないが、殺しを気に病む様な心の作りをしていないぞ、俺。病むなら大垣の警察署を襲った後に病んでる」


 代表して答えた夏鈴の言葉は、俺も聞いた事がある。

 戦場から戻ってきた男は高ぶった気持ちを静めるために女を買い、抱くのだとか。他にも戦場で強姦が横行するのもそれが理由みたいだね。日本の女性も戦後の米兵にずいぶん襲われているし。


 まー、一般論で言えばそこまで間違った話でも無いのか?

 俺がその一般の範疇に入らないだけで。


「いいえ。かなり毒されていると申しますか、影響は少なくないと思いますよ」

「え? マジ?」

「はい。マジです。

 そもそも、その前の拘置所襲撃が終わった段階で血に酔っていた様に思います。

 その後の警察署での変化が少なかったのも、それが原因かと」


 夏鈴はそう言って、そっと目を伏せた。



 残念ながら、俺に心当たりは無い。自覚症状はゼロだ。

 だが俺の自己申告、自覚症状が無いと言っても、外から見ると何か変化が有ったというなら、何か考えないといけないのか?


 誠に遺憾ではあるが、そうなのだと受けいれるしか無いかね。



「ちなみに、効果はあったのか?」

「それはこれから分かる事ですよ」


 もしかすると、大きな戦いがある度にやらなきゃいけないのかね?

 そう思ったけど、効果が不明なので、判断は保留。


 このへん、個人差があるからね。

 効果の有無はよく分からないか。

 よく聞く「憑き物が落ちた」と言うレベルで変化があったとは思えないし。

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