1-10 デミゴブリン
夏は森の草の背丈も伸び、非常に歩きにくい。
家の周りであれば兎が頑張って草を食べてくれるので大丈夫だけど、森の中はそうもいかない。
カードの使用枚数に制限が無ければ兎軍団を組織して、食らい尽くして欲しいぐらいだ。
その後が続かないのは予想できるけどね。
生態系の破壊だし、あんまりやり過ぎは良くないか。
そうやって森の方に入ってはゴブリンを狩ろうとしている。
大概はハズレで、少数で行動するゴブリンというのは見つけられない。
割と大規模な集団というか、10匹前後で行動しているゴブリンが多い。この規模ではちょっと、今は攻めたくないかな。逃げられそうだし。
5匹が上限だと思うんだよね。安全にやるとすれば。
こうやってゴブリンの集落を見ていると、やっぱりゴブリンは多産なんだと理解させられる。
俺はゴブリンの数を20匹ほど減らしてやろうとしているけど、なんか、小さいゴブリンが増えている。
捕まった女性からかどうかは知らないけど、ゴブリンの繁殖が順調に行われている。
季節が良いのだろう、食料が簡単に周囲から手に入る状況だからか、気兼ねなしに数を増やしているように見えた。
正直、俺がゴブリンを20匹減らそうと、冬までに戦力を補充されそうである。
予定を変える気は無いけど、危機感を感じてしまうね。
俺がそんな焦燥感を抱いていると、小さいゴブリンが4匹ほど、集落を出て森に入っていった。
「チャンスだね。4匹なら確実にやれる」
産まれたばかりのゴブリンだろうと容赦する気は無い。
俺は夏鈴たちを連れ、子供ゴブリンの後を追う。
「キャッキャッ」
「キュィ?」
「キュキュー!」
子供ゴブリンたちは、背後から迫る俺たちに気が付くことなく何かしている。
見ると、運良く捕まえた兎をいたぶり、遊んでいるようだ。
ありがたい。罪悪感を感じずに済むね。
俺は追加で草原狼を2匹呼ぶと、子供ゴブリンを一気に殺し切るよう命じる。
俺も『マナボルト』を使い、1匹は殺した。
子供ゴブリンは背丈が俺の半分ほどしかないので、逃げる事もできず、あっさり全滅した。
「『カード化』っと。って、ありゃ?」
殺した後は戦力補充。ゴブリン4枚ゲットだぜと思ったら、ちょっと予想していなかった結果が出た。
デミゴブリン:モンスター:☆☆:小:1日
デミゴブリン1体を召喚する。デミゴブリンはゴブリンと人間の混血種。ゴブリンほどではないが弱く、しかし繁殖力は持たない。
気分の悪くなる結果だね。
こんなカードが4枚手に入っても、嬉しくない。
このカードを見て考えちゃったんだよ。
「これ、進化させたら人間になるのかな?」って。
我ながら、嫌な発想をするよね。
冗談じゃないよ。




