表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
253/729

10-12 リベンジマッチ②

 出てきた敵を見て、俺と夏鈴は笑顔を見せる。


「出てくるのが遅かったっていう事は準備に時間がかかったという事。数を集めるのに時間がかかったんだろうね」

「はい。対応するのに時間がかかった、それも千の兵を集めるだけでその体たらくという事は、相応に病気が蔓延している証拠ですね」


 守る土地面積が同じ場合、軍の規模が大きければ大きいほど、部隊運用は行いやすくなる。

 厳密に言えば規模に合わせた組織が求められるので、命令系統の複雑化により動きにくくなる例も存在するが、例えば百万の軍から千の兵を出すのと一万の軍から千の兵を出すのとでは難易度がまるで違う。


 数が多ければ守るべき土地にまんべんなく配置し、敵の規模に合わせて動かすのも自由自在となる。迎え撃つ兵士に町を守る兵士、後方の予備選力まで簡単に捻出できる。

 数が少なければ兵の密度は薄くなり、敵に攻められ兵士を動かすにしても、兵士の密度を偏らせ町の守を薄くし、乾坤一擲の勝負を仕掛けるしかない。

 数は力なのだ。





 今回、敵はこちらの4倍を用意した。

 あの時に見た召喚術士も同じ装備の奴が5体は混じっているように見える。


 全体的に装備の質は悪くない。民兵ではなく、軍人が千も出てきた感じだ。

 簡単な戦力評価をするならば、数と質、両方でこちらを上回るように兵を揃えたようにも見える。

 前に見た遠征軍は武器に皮の胸当てといった軽装だったが、あいつらは金属製の鎧と具足や小手を身に纏い、いっぱしの兵士のように見える。


 ただ、足並みが揃っていない。

 後方にいる一団は同じ歩幅で歩いているが、前の方にいる連中は列を乱し頭の位置がすぐに前後する。

 某体育大学の行進を動画で見た時の美しさが、前を行く奴らにはない。


 行軍は軍隊の基本であり、足並みが揃っているかいないかで軍人と民間人を区別することができる。

 つまり、連中は見た目だけの軍隊だ。死者が多く出たため、余った装備を支給された民間人交じりの軍隊。

 装備と数だけ見れば立派だが、中身はおそらく伴っていない。


「んー。2割、いや、3割? 夏鈴、どう見る?」

「私も同じ見立てです。7割が民兵のようですね」


 こちらの油断を誘うために演技をしている可能性があるけど、さすがにそれは考えすぎだ。

 動きの悪い連中が7割で、本命の兵士は3割の300体。

 戦力評価としては、ちょっとこっちが有利程度となるかな。



 距離が近くなると、敵は陣形を組みだした。

 ただ、動きが遅く、形が歪。

 練習させたが、そこまでの練度が無い。いいね、楽ができるかもしれない。


 タイラントボアの投入については俺かジェネラルが必要と判断した時だけど、俺もジェネラルも、まだ召喚しなくていいと思っている。

 ジェネラルも数に騙されず、冷静な判断ができているようだ。


 こちらは横に二列と広がるような陣形。盾による防御を完璧にするため、互いの肩が触れ合うような密度で並んでいる。

 相手は十人十列を十個作り、前から2-2-3-3と、やや縦長の陣形。まとめてなぎ払うような遠距離攻撃を警戒してか、兵士の密度は薄い。そして例の召喚術士は最後方だった。


 強固で面による攻撃を可能にする俺たちに対し、薄く弱い波状攻撃による突破を狙う敵軍と言えばいいのか。

 俺は戦術にあまり詳しくないが、本当にそれでいいのかと言いたくなる。なんか、中途半端だ。



 この世界にはこの世界の軍隊戦術が存在するんだろうけど、なんか微妙。

 一騎当千の兵士の使い方とか、もうちょっと何か無いのかね。


 俺がそんな事をつらつらと考えているうちに互いが前進、戦端が開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 先端→戦端ではありませんか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ