1-6 食の強化
偵察に行ってから2ヶ月、装備を整え、スペルを強化し、食料事情もちょっと良くなった。
食料関係は優先してカード化しないとみんなにご飯が行き渡らないので、特に頑張っていたわけだよ。
なのでお腹の膨れる食料カードの成長は特に早い。
☆☆の『塩パン』『ミルク』はリキャストタイム短縮後、『コピー』で数を増やしている。『具なしシチュー』は数こそまだ増やせないけど、リキャストタイムの短縮だけは終わらせたよ。
あと、増やした『塩パン』から塩だけ抽出することもしてみた。一回水に浸して、その水を鍋で炊いて『焼き塩』をゲット。
☆の『リンゴ』も、甘く大きくした後に『進化』させたので『大蜜リンゴ』という名前になった。☆☆になってしまったので増やすまで時間はかかるだろうけど、ゴブリンたちもこれの増産には期待している。
で、狼用に『生肉』(☆☆)という名で兎の肉をカード化していたんだけど、これを大きくするとともに、味を良くしてみた。無論、リキャストタイムは短縮済み。今は進化待ちだ。
カードの方だと、あとは山芋や山菜のほか、植物油用にと『草の実』から『油の実』を作ったり、『草の葉の束』を『薬草の葉の束』や『兎の餌の束』にしたりと、色々やっている。
兎用にはニンジンでも作りたいんだけどね。何から始めればいいか分からないよ。
カード以外での成果として、ソバが収穫できた。
「夏前に蒔けば秋に収穫できる」と書かれていたけど、春に蒔いて夏に収穫できるとは思わなかったよ。
細かい最適な収穫のタイミングはこれから調べることになるんだろうけど、調整して最適化するまで何年かかるんだろうね?
狼や兎という動物の補助もあり、雑草に悩まされずなんちゃってでも畑で育てられたソバは、豊作だった。
小麦なんかと比べると土地単位での収穫量は少ないかもしれないけど、それでも俺から見れば豊作だ。蒔いた種籾が何十倍にもなった。
労力はそこまで大きくなかったので、これは大成功と言っていいはずだ。
土地をもっと確保し、もっとたくさん収穫すれば、カード無しでも食っていけるかもしれない。そんな、甘い夢想をしてしまった。
……してしまったんだよ。
ソバが収穫できたので、そば粉にしようと思って、ふと気が付いた。
そば粉にしても、小麦粉が無いと蕎麦にできない!!
確か二八蕎麦とか言って、つなぎに小麦粉が無いと蕎麦は打てなかったはず。熟練者ならできるかもしれないけど、素人の十割蕎麦は不味いって言われていた気がするよ。
それ以前に、そば粉にするのが大変だった……。
脱穀機は無理でも、千歯扱ぎは割と簡単に作れたので、脱穀は大丈夫。
粉にするのは石臼を作っておいたから大丈夫だった。こっちも構造が単純だから問題ない。
だけど粉にはもみ殻とか付いていて、それを取り除くのが面倒だった。
篩とか、手元に無いよ!
篩用の網なんて、作れなくなかったけど作るの、めっさ大変だったよ!
網を作るのに、草から繊維を取り出して、それを手で網にして……。
縦糸と横糸を編むのは、発狂しそうなほど苦労した。
一辺30㎝の四角い網を作るのに、ほぼ一日費やした……。
そして、そうして出来たそば粉は、ガレットだっけ? クレープ生地みたいにして食べれるようにしたけど、微妙。
肉を巻いて食べるにはいいんだけどね、それぐらい。ゴブリンたちも、あそこまで苦労してそば粉を作った理由が分からないという顔をしていた。
塩を気軽に使えるようになりたいなぁ。
大豆、醤油、昆布、そばつゆが欲しいなぁ。
量も増やさないとダメなんだけど、食のバリエーションをもっと増やしたいよ。