9-2 滅菌処理
感染症対策といったところで、1ヶ月程度の隔離期間を置けば、たぶん大丈夫。
と言うか、こちらには血清から作ったお薬があったので、ディズ・オークの病気であれば普通に対応が可能だ。
そのディズ・オークだが、軍や部隊に加えてその中間である「戦隊」という25人をスタックしたカードなどを含め、約300人分もの在庫がある。そして素材として100体分を確保しており、正直、これ以上は要らないと思う。
使い道も今のところお薬の材料に、ってレベルだから。
そんなディズ・オークだが、困ったことにこいつらはそのままだと使えない。
病気持ちという事で、俺たちに感染するからだ。
自爆前提のバイオテロをしたいとは思わないので、このままなら出番は無いだろう。
そこで『強化』による病気の消去を行い、使えるようにできないかと思ったのが一つ。
アイテムの『合成』で何か新しい病気対策の可能なジョブにならないかな、他のモンスターカードとなら新種になるのではと思ったのが二つ。
あとは『進化』すれば、病気に強いだけの種族にならないかなと期待したので三つ。
これらのテストを行い、検証をして最終的な使い道を決定する。
まず、『強化』による病気の除去。
これは可能だった。
ただ、一回では足りず、三回ほど強化しないと病気が消えない。
あと、病気が除去された場合、カードの表記が『タフ・オーク』に切り替わる。病気が無いようにと進化させた場合も同じだった。
『合成』に関しては、血清を合成すると『ワクチン・オーク』になり、保菌者ではなくなるのが確認された。ワクチンと名がつくが、こいつらの血がワクチンにならないというオチもついているけど。
また、回復薬を合成することで病気が消えたけど……『オーク・ブラックブラッド』という、血が解毒能力を持つオークになった。黒い血、ねぇ。どこから出てきた?そして病気と全く関係が無いというのは微妙な気分だ。
他のカードだと、普通に職業に就くだけで終わったよ。
とりあえず、病気無しの状態にすることは可能。
コスト的には合成で済ませるのが良さそうだ。
種族が切り替わるだけの『ワクチン・オーク』をメインに、ちょっとだけ『オーク・ブラックブラッド』を用意すればいいか。
『タフ・オーク』は……要らないかなぁ。盾でも持たせて壁役に、とか考えたけど、コストが重い。試験的に作った1枚だけでは部隊運用もできないし、お蔵入りでいいかな。
最後に、モンスターカード同士の、『合成』の話。
合成可能なカードは『ゴブニュート』のみ。
ヒューマン系や素のままのゴブリンとか、狼や猪とかの獣系、タイラントボアの未熟児とかは合成不可だった。
できないものは横に置くとして、できた結果は。
『オークゼルブ』:モンスター:☆☆☆:大:1年
オークゼルブ1体を召喚する。オークゼルブはまだ形の定まらないオークである。あらゆる環境に影響を受け、あらゆる全てを受け入れる。
☆はたったの3つ。これはいいけど、消費の「大」やリキャストタイムの「1年」ってなんだろうね?
フレーバーテキストも不穏だし、なんか、ものすごく怖いんですけど。形が定まらないって何さ?
これも、お蔵入りだろうねぇ。
怖くて召喚できないよ。