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8-24 北からの侵入者⑪

 離脱の事を考えると、今回の嫌がらせも少数で行われることとなった。

 大狼の数は現在6体。それに合わせ6人が選ばれた。


 俺はもちろん許可が下りない。留守番である。



 今度はバリスタの時よりも近くまで行かないといけないので、弓による反撃が考えられる。

 だが、それでも150mまで距離を詰めた彼らは誰も射かけられることは無く、煙球を投げ込んだ。


 煙球が投げ込まれると、ディズ・オークの軍から飛び出す者が現れた。

 そのほとんどは槍を構え突入してくるのに備えていたが、視界を遮られ、パニックを起こしたようだ。

 それに遅れて敵の弓兵が射撃を始め、まばらな弾幕を張り出す。


 ……こちらの意図が読まれているのか、そもそもあの程度の射撃部隊しかないのか。判断に迷う所である。



 俺の側から特に追撃は無い。

 矢を射かけられる中に突入して追加の毒煙球を投げるには危険が伴うので、そこまでする理由が無い。

 とにかく、この膠着状態のうちに相手の消耗を誘い、このままではいけないと危機感を持たせるだけでいい。


 時間をかけず全滅させてやりたいというのは間違いないが、それはこちらの戦力を損なわない形での話だ。

 可能ならば、1人たりとも損耗せずに勝ちたい。

 俺としてはそちらの方が優先順位が高いのだ。



 煙が晴れると、後に残ったのは無駄打ちされた矢と、それによって死んだ数体のディズ・オーク。えぇと、19体か。けっこう死んだな。

 こちらはすでに200m以上離れた所に居るし、矢が当たるという事は無い。ディズ・オークの弓矢は200m届くかどうかという程度だったので、ギリギリの所に居れば余裕で回避できるのだ。


 これ見よがしに挑発する、煙球部隊の6人。

 魔術師や弓兵が混じっていないし、攻撃することはしないが、その場に留まり続けている。

 言葉は通じないが、臆病者と罵っている。


 敵を見れば、一部の連中が「ぶっ殺してやる」とばかりに飛び出そうとして、それを仲間に押さえつけられている。

 何と言うか、「グォグォ」とでも叫んでいるよ。オークは豚系なので、「ブヒブヒ」かと思ったけど。そうでもないみたいだね。


 相手が本当に飛び出してくるのなら毒煙球を追加で投げる予定だったが、そういう事もやってくれなさそうだ。

 俺は撤退指示を出し、煙球部隊を帰還させた。

 置き土産に、毒煙玉ではなくただの悪臭煙球を投げさせて。


 あ。敵の一部が臭さにのたうち回ってる。

 風が強いとはいえ、そこまで届くことは無いと思ったけど、それでも効果があるんだな。

 それともディズ・オークの鼻が良いって事か?



 良い事を知ったな。

 次は煙で燻してやろう。


 その前に、大狼たちも疲れただろうから、休憩を入れないといけないけどね。

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