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8-23 北からの侵入者⑩

 二度にわたる嫌がらせが成功した。

 バリスタにより、敵は10人かそこらが死んだはずだ。

 全体の2%であるが、それで十分だ。欲張る場面ではないし、無傷で確実な成果を上げただけで十分だ。


 まぁ、実際は俺がカードの利用枠を2つ潰しているので、コスト的には痛いんだけどね。

 タイラントボア、リジェネ、底なし沼、バリスタ。

 食料はカード化解除で出したので枠を使っていないけど、枠の利用状況はかなりヤバかったりする。

 しばらく俺のカードは温存だな。



 こうなると、投石機のような遠距離攻撃手段も欲しくなるが、今回の戦闘には間に合わないので、アイディアだけに留めておく。

 ガチで戦争をする気など無かったが今後はこういう事もあるという前提で動いた方がいい。

 越前が落ちてしまったのなら、今後はかなり荒れるだろうし。


 これまでのような平和な生活ができるとは限らないのだ。





 遠くから敵陣を観察しているが、敵は内輪もめをしている様子で、おそらくこちらの挑発に我慢ならない馬鹿が出陣させろと騒いでいるのだろう。

 軍隊は舐められたら終わりという側面を持つので、一部の血気盛んな連中が士気を維持するためにも打って出たいとかそんな事を訴えていると思われる。そして待機命令を受けた総司令官が命令遂行を優先すべきだと、出撃を抑えているのだ。


 そんな事を考えていると、風の向きが変わった。

 今までは向かい風だったのが、追い風に。

 日中、気温が上がると風向きが変わるというのはよくある話だ。そして今がそのタイミングだったのだろう。


 チャンス到来だ。



「火ではなく、これを使う」


 俺が用意したのは、『悪臭毒煙球・改良版』だ。

 嫌がらせアイテムとして使い勝手がいいので、けっこうな数を作っておいたのだ。

 悪臭だけでなく刺激臭もあるため、この煙の巻き込まれれば、毒でまともに動けなくなり、涙を流しながら臭さに打ち震える羽目になる事だろう。威力はかなり凶悪だ。


 火計、敵に向かって火を付ける事も考えたが、それは周辺に大きすぎる影響を出すので今回は見合わせた。

 そもそも、簡単に火が付くほど夏の草木は乾いていないし。


「それが終わったら突撃し、撫でるように敵の表層を削る。

 奥にいる指揮官クラスではなく、表面の敵を削るように射殺していく」


 毒煙球の射程なんて100mも無い。どんな道具を使おうが、精々50mぐらいだ。

 ただ、煙は100m先まで届くし、多少薄くなっても効果はある。

 なので、通常の煙球も使って視界を防ぎ、場を混乱させつつ毒煙球へとシフトする。


「煙に視界が塞がれた後、敵が弓を撃ってくる可能性もある。いや、間違いなくそうするだろう。

 だから、敵を見ている者の声を聞き逃してしまった。そんな事の無いように頼む」


 視界を遮った場合、敵がとにかく弓矢で弾幕を張り、こちらの突撃にカウンターを仕掛ける可能性がある。

 そうなっては万が一が起こり得るので、毒煙球には繋げず、相手の矢玉を無駄に消費させただけで良しとすべきだ。



 別の懸念は相手がいきなり突撃してくることだが、その可能性は考えない。

 いや、いくら何でも無謀の一言だろう?

 もちろん、そうなったと判断したら、毒煙球を使って逃走するけどね。

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